木枯らしの少女編
第274話 木枯らしの少女
ノーレンスらによる修行により、イージスとアニーは前よりも少しばかり強くなっていた。
そんな彼らは今、ある島へ向かっていた。
それはリーファが描き、創造した世界ーー童話島。
「イージス。久しぶりだね」
「リーフ。懐かしいね」
イージス、アニーは、九頭竜の一人ーーアズール=コースターの引率の下、童話島へ来ていた。
リーフやリーファらの住むリーフ村であった。そこはモンスターと人間が共存する摩訶不思議な村。モンスターと人間の友情は厚く、強固に結ばれている。
その村のリーフの家で、リーフとリーファに向かい合って、イージスたちは座って二人の話を聞いていた。
「今回君たち呼んだのはある少女について話があるからだ。その少女は"木枯らしの少女"と呼ばれている。彼女はその名の通り、木々を枯れさせる不思議な力を有している」
「木々を……。それは意図的に引き起こせるのか。それとも制御不能か」
「察しの通り、彼女はその力の制御ができない。故に、彼女は私たちでは止められない。制御不能の力を前に、私たちでは何もできない。
その上、木枯らしの少女は私が産み出した存在。私を前にすると、彼女は私を襲う。それは私を恨んでいるから。向き合っても向き合っても、何もできないままだ」
リーファは未だ罪を背負っているようだった。
かつて童話島の裏側で、彼女は童話の者たちと向き合った。勇気を出して向き合った。けれどまだ彼女を恨んでいる者はいた。
多くの童話の者たちがリーファを受け入れても、中には彼女を拒む者も多くいた。
「童話島には幾つもの童話があったよな。まだ童話から生まれた者はいる。その中で、木枯らしの少女と呼ばれている者は一度童話島の外へ出てきた」
「三日月島の事件のことですか?」
それを聞き、アズールは語り出す。
「そういえば最近のことだったか。三日月島には宵闇の木が生えていた。だがそれらは全てユグドラシルという魔法聖によって失くなったはずだった。だがしかし、何者かが再びそこへ木を植え、光を吸う宵闇の木の森が完成した。
だがしかし、そこで彼女は現れた。木枯らしの少女、彼女がその島へ近づいた瞬間、木は次々と枯れていった。今では三日月島には木は一本も生えていない。カラカラの島だよ」
「彼女を放っておくわけにもいかない。彼女は私が生み出してしまったからだ。私は彼女を救いたい。だから力を貸してほしい」
「ええ。是非とも木枯らしの少女を救いましょう」
そこへ開いた扉の方から一匹の狼が駆け足で入ってきた。
白い羽毛、白丸だろう。
「白丸、何かあったのか?」
「花枯れ王女、別名木枯らしの少女がもといた村ーー木枯し村にて、吸血樹と呼ばれるモンスターが出現。村の人々を襲っている模様」
「イージス、木枯らしの少女については話は後だ。今はあの村の住人を救わなければいけない」
「了解。では急いで向かいましょう。一人でも多く救うために」
イージスたちは急ぎ、木枯し村へと向かう。
その後、白丸はある場所へ向かう。それはリーフやイージスたちが向かった木枯し村ではない。彼が向かった場所はーー
「ーー王女様。」
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