魔法探検家編

第224話 先生を探して

 魔法アイドル選挙も終わり、六月になった。

 イージスとアニーは自分達の寮の部屋で休み、たわいもない会話をしていた。


「イージス。魔法アイドル選挙の結果が出たけどさ、私たちが七位でさ、ハートフルホワイトも七位らしいよ」


「奇跡的に同じ順位ってことか」


「何だ。イージスにはきっつい命令をさせてあげようと思ったのに……」


「危ない危ない。一体どんな命令を……」


 イージスは笑みを浮かべるアニーへ恐怖を感じていた。


「とまあ今の話は冗談として、イージス、今度は魔法探検家ですか」


「ああ。やっぱ男のロマンといえば魔法探検家さ。それにここ名門ヴァルハラ学園の所有する領土に幾つか不解明な場所が幾つかあるだろ。そもそもこの学園のある領土、その大地が永遠と浮いていること自体違和感なんだ」


「言われてみれば……魔力の供給でどこから来てるんだろうね」


「まだこの世界にはロマンがたくさんあるんだ。だから俺はその一つ、ダンジョンに行きたい。あそこには何があるのか、それを知りたい」


 イージスはザ・少年、と言った具合に楽しそうにダンジョンについて語っていた。その様子は大人びていたはずのイージスが子供に戻ったようで、微笑ましい様であった。

 アニーは久しぶりに見たイージスの好奇心旺盛な様子を見て、楽しそうに笑みをこぼす。


「それでさ、ダンジョンは人工的に創られたって言われてるんだけど……」


「ねえイージス。じゃあ行こうよ。そのダンジョンとやらに」


「ああ。そうだな。じゃあまずは魔法探検家の先生に極意とやらを聞きに行こう」


 イージスとアニーは名門ヴァルハラ学園へと向かった。

 百年も前に建てられたヴァルハラ学園の校舎、見劣りすることなく、その大きさは計り知れない。汚れもなくひびもない。

 それ故、この学園の異常さが見て取れる。

 そんな学園の門をくぐり、職員室へと向かう二人。職員室へ入るなり、魔法探検家の先生を探すがおらず、居場所を聞いても見な口々に「わからない」と言い消息は不明。

 やはり魔法探検家である以上常に探検をしているのだろうか。

 などという素朴な疑問を抱くも、先生を探しに学園中を探し回っていた。


「見当たらないね……」


「ならクイーンの占いで探してもらうのはどうだ?その方が早いだろ」


「確かに。じゃあ寮に戻ろう」


 長い間学園をさ迷った挙げ句、寮へ戻ってくるという行動にクイーンやイスターたちは興味津々であった。


「二人とも。何かあるなって思って占った結果、魔法探検家を探していることが分かった。そして君たちは魔法探検家の先生を探すために私へ依頼しに来た、ってことでしょ」


 クイーンは椅子に座り、机に三枚のカードを置いて待っていた。


「話が早いな。なら頼む」


「じゃあ始めるよ。〈占いの札タロットカード〉」


 クイーンは真ん中に置かれた札を取り、それをめくる。そこにはある言葉が記されていた。


「ダンジョン、そこにいるってさ」


「なるほど。いきなりか」


 イージスはダンジョンにどこか懐かしさを感じているのか、微笑する。


「アニー、早速行くとしようか」


「そうだね。ダンジョンか。確か三年ぶりかな」


「そのくらいになるか。じゃあ行くぞ」


 イージスとアニーは、いざダンジョンへ向かう。

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