第211話 神は舞い降りた
スーウェンは溢れるほどの力を手にし、満面の笑みでイージスへ手をかざす。その瞬間、突風が吹き荒れてイージスは島の外の海まで吹き飛ばされた。
「イージス……」
「君たちも終わりだよ」
スーウェンはアリシアへ手をかざす。
無数の氷の刃がアリシアへと降り注ぐ。ヴァーミリオンは全身に火炎を纏いつつ、剣を振るって氷の刃を斬り裂いた……はずだった。
だが氷の刃がヴァーミリオンの剣へと触れた瞬間、火炎ごと氷漬けにしてヴァーミリオンの体は凍る。
「させるか」
雷の如く速度でスーウェンの背後へと回り込んだサンダー、彼は電撃を纏う剣でスーウェンの首目掛けて振るう。だがスーウェンの首に刃は通らない。
弾かれた。
サンダーの剣は魔法を纏うスーウェンの首に弾かれ、カウンター魔法によりサンダーは全身に電撃が走る。
「対雷魔法殺し。やはり雷使いにも通用してしまうよな」
スーウェンは余裕綽々と、膝から崩れ落ちたサンダーへ視線を向ける。
「まずは君から殺そうか」
スーウェンは電撃をサンダーへと放つ。だが電撃はそこにいたはずのサンダーへ当たることはなかった。
連続瞬間移動、それによりサクヤはサンダーを抱えてスーウェンから離れた位置に移動していた。
「面倒だな。瞬間移動。まあ、お互い様だが」
スーウェンはサクヤの背後へと転移した。背後からスーウェンはサクヤへ蹴りを入れる。
サクヤが気付いたのは足が顔へ触れるちょっと前、その蹴りをかわすことはできない。だがスーウェンの足へ剣を振るい、アリシアはスーウェンの蹴りを受け止める。
「サクヤは死なせない」
「無駄だ。どうせお前ら皆死ぬ」
スーウェンはアリシアを蹴りで圧倒した。
宙へ舞い、地へ転がるアリシア、そんな彼女の頭上でスーウェンは剣を手に直降下する。剣の一撃がアリシアの首へ、
(はあ。すまないな、イージス。どうやら私は弱いらしいな。だから……ここで死んでいく。お前を救うことは、私にはできないらしいな)
目を瞑り、死を待った。
五神には敵わない。だからその剣は、
鳴り響く金属音。
それとともに現れたのは、一人の女性。彼女は刀を握り、スーウェンの剣を受け止めていた。力は互角かそれ以上。
「お前……!?」
スーウェンは突如現れたその女性を見るや目を見開いて驚いていた。そして驚きとともに怒りも込み上げてきていた。
「なぜのこのこと私の前に姿を現した。ビャクヤ」
ビャクヤ=ウエスト。
彼女は白髪に猫耳を生やし、体の内には白虎を宿していた。
「久しぶりだな。スーウェン」
「裏切りの神、ビャクヤ」
「私は再びお前を殺しに来た。お前を討つのに適任なのは、やはり私しかいないだろ」
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