第209話 六芒星VSアーラシュ

 突如現れた虹色の服を着飾る女性。彼女はスーザンを前に余裕綽々と笑みを溢しながらアリシアたちのもとへと降り立った。


「君たち、やはり五神相手に苦戦しているようだね。だから私が救援に来た……と言いたいところだが、アーラシュもヒノカミもいないか。イージス、一緒に来たか?」


「ああ。六芒星のメンバー五人と一緒に島へ来たのだが、強制転移の魔法によって姿を消した」


「なるほど。スーウェンか……」



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 その頃、地下に転移させられた六芒星の面々はある男を前に固まっていた。


「アーラシュ……生きていたのですね」


 ヒノカミたちは笑みをこぼし、アーラシュへと歩み寄る。それを拒むように、放たれたのは一本の矢。

 矢はヒノカミの頬をかすり、壁に刺さった。

 ヒノカミたちは足を止めた。


「違う。アーラシュじゃない……」


「操られている?アーラシュが……」


「そんな……」


 アーラシュがとった不自然な行動、それにヒノカミたちはアーラシュが操られているのだと推測した。

 アーラシュは再度弓を引き、矢を放つ。矢は転移してヒノカミの足を貫いた。ヒノカミは膝から崩れ、しゃがみこんだ。


「アーラシュ……、どうやって操られている……」


 ヒノカミはしゃがみこみながらアーラシュを見た。

 普段と違う場所、それは一つあった。アーラシュは首にネックレスをつけていた。普段はつけていないはずなのに。


「お前ら、アーラシュのつけているネックレスを狙え。あれがアーラシュを操っているはすだ」


 その瞬間、スイリュウは即座に弓を構えて矢を放つ。水流の如く矢は流れて宙を漂うも、アーラシュはそれをかわしたと同時、矢を放ってスイリュウの腕へ直撃する。

 スイリュウへアーラシュがもう一発放とうとしたその時、シロナは天井を走ってアーラシュの頭部へ蹴りを入れる。しかしアーラシュは腕でその蹴りを受け止める。


「凍りつけ」


 アーラシュの腕は徐々に凍っていく。


「シロナ、離れろ」


 蹴りを入れたシロナ、そんなシロナの足に三本の矢が刺さっていた。シロナは地へ崩れ落ちる。


「弓に射ず……転移か…………」


 アーラシュは手に矢を持ち、次々と転移させていく。

 本来アーラシュは弓から矢を放つことで矢を転移させた際に軌道を読ませない。だが今アーラシュは手に持っただけで転移をしている、つまり一度避けられれば簡単な攻撃。


「転移場所を読めばいいだけ」


 プリシラとマトリッカは地を駆け、アーラシュへと走る。

 矢が転移されていくも、それらをスピードでかわしていった。そしてプリシラはアーラシュの下半身へ、マトリッカはアーラシュの上半身へと蹴りを入れる。

 その直前、アーラシュが手に取ったのは百以上の矢。


「まさか……」


 百以上の矢が転移し、アーラシュへと近づいたプリシラとマトリッカを襲う。

 無数の矢が体へと刺さり、プリシラとマトリッカは転がった。

 だがしかし、アーラシュは既に矢を拾わなければない状態となり、無防備。


「待っていたぞ。この一瞬を」


 ヒノカミはアーラシュのネックレス目掛けて矢を放つ。火炎を纏った矢はネックレスへと直撃……その寸前、アーラシュは飛んできた矢へ触れてヒノカミの腹へと転移させた。


「そんな……」


 アーラシュは落ちていた矢を拾い、一番近くで転がっていたプリシラへ矢を自らの手で握って突き刺す。周囲へは血が錯乱し、プリシラの頭からは血が……。

 ーーそれを阻止した者がいた。

 彼女はアーラシュを突風で突き飛ばし、プリシラから引き離した。


「あとは私に任せておけ」


 そう言い現れたのは、名士四十一魔法師の一人ーーヒミコ=アマノカミ。


「アーラシュ、君の目を覚まさせてやる」

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