五神島最終決戦
第203話 始まった戦い
五神島。
そこに立ち込める不穏な気配。
それを体現するかのように、数名の魔法使いが五神島へと上陸していた。その気配に感づいた五神の一人ーースーウェンは言った。
「どうやらイージスとやらはこちらから探す必要性はなくなったさね」
「なるほどじゃ。侵入者の気配じゃ」
そこにいた五神は皆その気配を感じ取っていたようだ。
十六司教は戦いの始まりにやや気持ちを高ぶらせていた。
「まあ大丈夫だろう。こちらにはまだ人質はいくらでもいる。それに名士四十一魔法師の一人も、既に私の手のひらの上」
スーウェンは笑みをこぼしていた。
その頃、五神のいる塔へ激しい衝撃が響く。その音とともに、襲撃者たちは一斉に塔の中を駆け回る。
「瞬間移動か。十六司教よ、今すぐ奴らを迎え撃て」
十六司教は動き出した。
五神たちは玉座へと座ったまま、高みの見物をしようとしていた。
ーー五神塔一階。
既に一人、十六司教はそこへ移動していた。彼女は決着をつけなくてはいけない相手がいるから。
イージス、アリシア、六芒星の五人、サンダー、サクヤ、リーフの十名は五神塔内を駆ける。
突如現れた彼女は火炎を纏う剣を振るい、真っ先にサンダーへと襲いかかる。
サンダーは待っていたとばかりに剣を抜き、周囲へ激しい電撃を発生させた。
「待っていたぞ。ヴァーミリオン先輩」
「それはこちらの台詞だ。サンダー」
両者は剣をぶつけ合い、激しい振動を周囲へと放つ。
さらにもう一人、ロイ=フーは颯爽と現れ、サクヤへと蹴りかかる。しかし瞬間移動によってかわされ、背後から氷の弾丸を受ける。
ロイは全身を燃やし、凍った背中を溶かし、火炎を纏う拳を握る。
彼らが戦闘を繰り広げている間に、アリシアたちは上層を目指す。
ーー五神塔二階
そこに現れたのは口紅が妙に魅力的でスタイルの良い女性。
彼女は唇に手を触れ、直後にその場にいた男性は皆彼女から目が離せなくなっていた。その隙をつき、頭上から一人の少年が現れ、握る二本の短剣で襲いかかる。
されどアリシアは素早い動きで少年を落とし、壁へぶつける。
「お前ら。この二人は私に任せろ」
アリシアは余裕綽々で剣を構え、二人へ向ける。
その間にイージスたちはさらに上層を目指す。
「さすがに名士四十一魔法師に選ばれただけはあるな」
「私を前にまだ戦う気を失わないなんて、強いのか。お前たちは」
アリシアは挑発するように言った。
「私はキス=アンドクライ。男性としか戦いたくはないけど、仕方ない。相手になったあげる」
キスはそう言うと、次に隣にいる無口そうな少年について語り出した。
「彼はソード=サイレンサー。彼は暗殺を得意としていた一流の暗殺者さ。そして、」
アリシアは突如剣を振るう。すると金属音が響く。
「あーあ。バレちゃったか」
透明化によって姿を隠していた男は、その魔法を解除して姿を現した。
その男は全身に分厚い鎧を纏い、腰には二本の剣を差し、手には槍を持っていた。
「俺はリザード=スプラッシュ。お前と同じ碧眼族だよ」
「三人か。さすがにこれは……しんどいな」
アリシアは冷や汗を流す。
そんな彼女へ三人の十六司教は襲いかかる。
ーー五神塔三階
そこへ着いた瞬間、六芒星の五人はそこへ現れた一人の男によって転移させられた。
彼はイージスの前に降り、そして名乗った。
「やあイージス。ボクはカノン=ギルティ。君を殺しに来てあげたよ」
ーー五神塔四階
そこで二人の十六司教が会話をしていた。
「ねえキュリオン。こんなところに呼び出してどうしたの?」
「パール。君はここで食い止める」
「だと思ったよ。どうせ裏切ると分かっていたから、とっておきの人物を用意していたよ。十六司教の中でも別格の存在、
東司教、グラン=グリモワール
西司教、ヴァーミリオン=ステラ
北司教、カノン=ギルティ
では残り一人は誰でしょう?」
次の瞬間、キュリオンは後悔した。
ーー五神塔地下
そこへ転移させられた六芒星の彼らが前にしたのは、彼らが知らないはずがないであろう一人の男ーーアーラシュ=ビェ。
「アーラシュ!?」
次の瞬間、アーラシュは彼らへと矢を放った。
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