第202話 再び始まる大戦争

 雲斬村での戦いを終え、イージスたちはリーフ村へと帰還する。

 そこで待っていたのはサンダーとサクヤ。

 彼らとの再会にイージスは驚いていた。


「どうして二人が……!?」


「イージス。十六司教退治なら付き合うぜ」


 ひとまず話をするため、サンダーとサクヤはリーフの家に案内された。そして十人ほどが座れる机を囲み、サンダーは話す。


「俺は十六司教の一人を倒さなくてはいけない。だから俺も十六司教との戦いに参加させてくれ」


「ああ。分かった」


「なあ、私から提案があるのだが良いか?」


 そう先導したのはアリシア。

 彼女は皆が頷くのを確認すると、そのことについて話し始めた。


「今が五神島へ攻める好機だと思っている。今だからこそ五神を倒し、そして十六司教も終わらせられる。今ここにいるメンバーなら、必ず倒せる」


 イージス、アリシア、〈六芒星〉の内の五人、ピーチ=ストロベリー、リーフ、サンダー、サクヤ。


「確かに今なら倒せるかもしれないな。だが五神という存在は噂で聞いたことはあるが、かつて魔法聖と戦えるほどの力があるらしいじゃないか。そんな彼らにこの戦力でいけるか?」


 リーフは言った。

 それにアリシアは言葉を返す。


「それについてなら大丈夫だ。五神は復活はしたが完全ではない。魔法聖によって世界中に力を移されたから。だからまだ完全復活していない今なら、逆に今でなくては倒せない」


「なるほど。ではいよいよ五神を落とす日が来るということだな」


「ああ。念のため、我が校のヴァルハラ学園から選りすぐりの精鋭も到着する。明日の真夜中、五神島へ襲撃を仕掛ける。今こそ五神を倒し、世界を解放する」


 五神に支配され、狂わされた無数の島々。

 それらを回り、生き抜いてきた彼らだからこそこの戦いの意味を悟っていた。


「ここで終わりだ。五神よ」



 ーー五神島。

 五神島の中心にそびえる巨大な塔、そこにある四つの玉座には三人の神が座っていた。


「十六司教の内、六名が脱退、もしくは討伐されている。東司教のグラン=グリモワールが脱退したのはかなり大きな戦力を失ったことになったさね」


 スーウェンはそう呟く。それに続くように、スーザンも言葉を紡ぐ。


「まあでも大丈夫だよね。まだ西、北、南の司教は残っているんだしね。だから焦らずいこうね」


「だがイーロンも失っている今、攻められれば終わりじゃ。どうするんじゃ」


 シロガネは一席空席なのを気にしていた。


「イーロンは力を取り戻す前に倒されてしまったからさね」


「ああ。力を取り戻していれば一番強かったよね」


「まあキョンシーズたちが新しい十六司教を連れてきてくれるじゃ。それを待つじゃ」


 そこへ丁度良く、ヴァーミリオンたち十六司教の残党が帰ってきた。

 しかしキョンシーズの姿が見当たらず、さらには新たな十六司教と成り得る者も視界に捉えることはできない。


「おい。新メンバーはどうしたんじゃ?」


「申し訳ありません。妨害を受けてしまい、キョンシーズは殺されてしまいました」


 ロイは膝をつき、五神へとそう言った。


「なるほど。やはりイージスとかいう者は早めに倒しておいた方が良さそうですね」


「そうじゃそうじゃ。殺すとしようじゃ」


「まあ良いさね。それより今後について話すさね。十六司教を全員ここへ呼べさね」


 現在生き残っている十六司教の残党は十人。

 彼らは五神の座る玉座の前へと現れた。その中にはキュリオンの姿もあった。


「お前ら。これより我々は本格的に動き出すさね。力の全ては取り戻していないものの、今の我々ならば世界など落とせるさね。我々が負けたのは先代魔法聖さね。どうせ今の魔法聖は先代には敵わないさね。さあ滅ぼそう、魔法聖を」


 イージスたちが動こうとしているように、五神たちも動き始める。

 忌まわしき敵を討つために、屈辱の相手を打倒するために。

 今再び、五神とイージスはぶつかり合う。

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