第198話 呪われし者
村へ運ばれた二人の女性を見て、スイリュウは真っ先に駆け寄った。
「プリシラ、シロナ。何があった」
スイリュウは二人へ呼び掛けた。
その声が届いたのか、二人は頭を抱えつつも目を覚ました。
「あれ……」
「なるほど。どうやら負けてしまったようだな」
二人はすぐに状況を理解した。
「スイリュウ。この島に飛ばされてきたのか?」
「ううん。仲間と一緒に冒険してきたんだ。だからヒノカミとマトリッカもいるよ」
「ほう。となるとあと一人というわけか」
〈六芒星〉のメンバーは既に五人がこの島に揃っていた。
ヒノカミ、スイリュウ、マトリッカ、プリシラ、シロナ。
あと一人さえ見つければ、〈六芒星〉は皆揃うこととなる。
「スイリュウ。仲間のもとへ案内してくれ。皆に協力をしてほしいことがある」
プリシラは焦っているようにスイリュウへと言った。
それを感じ取り、スイリュウはプリシラとシロナをヒノカミたちがいるリーフの家へと案内した。だがまだ朝の六時、ヒノカミもマトリッカもぐっすりと眠っていた。
「起こしに行こうか?」
スイリュウはそう訊いた。
「起きてからで良いよ。だけど腹が減ったんだ。何か食べられるものを持ってきてくれ」
「分かった」
スイリュウは食事を用意しに台所へと向かい、自身で作り出した魔方陣の中から食材を取り出した。
スイリュウは腕を捲り、台所にある料理道具を使って料理を始める。
食卓で二人きり、スイリュウがいなくなってホッとはしたものの、もう一つの面ではホッとできていなかった。
「ねえシロナ、覚えているでしょ」
「ああ。私たちにかけられた呪いのことか」
「キョンシーズとの戦いで私たちは死ぬ呪いをかけられた。それも解除できないように何重にも呪いを重ねて。そのせいで魔法じゃ呪いは解けない」
プリシラは胸を押さえ、確かにある気持ち悪い感覚に心臓を激しく鳴らしていた。
「シロナ。どうする?」
「キョンシーズの発言では、私たちが生き残れるのは一週間ほど。長いようでかなり短い。近場の島に呪いに関する知識を有する者を探すという選択肢もある。けど確実じゃない」
「キョンシーズを見つけて倒す。それしか確実な方法はないよね」
「もし魔法と同じようなシステムなら、呪いを刻んだ者が死ねばこの呪いは解除される。でも魔法には幾つか変異種などと呼ばれるものもある。だから確実とは言えない」
プリシラとシロナは考え、呪いへ詰まった。
自分が置かれている状況を理解しているからこそ、今がどういう状況なのか分かっていた。
「一週間以内に見つけよう。キョンシーズを」
「ああ。それしかないよな。私たちが生きる方法は」
そう悩む二人の声を、丁度料理を運ぼうとしていたスイリュウは聞いてしまった。
自然と足が止まり、思考も停止した。
「二人が……」
ーー呪い発動まであと二日。
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