第166話 暗黒島の悪魔
突如現れた男、ミエド=マレブランケ。
彼は大剣を持ちながら降り、十五メートルはある大剣を構えた。
「ミエド=マレブランケって……暗黒島の悪魔の名前と一緒じゃないか」
「ブック、何だ?暗黒島の悪魔って?」
ミエドという男を見て固まったブックに、イージスは魔法で剣を創造しながら問う。
「ミエド=マレブランケ、その名はかつて暗黒島を恐怖に叩き落とした存在として名が知られている。彼はその島の住民を次々と殺していき、彼を討伐するために魔法使いが何人も派遣されたが、誰一人帰ってくることはなかった。そのため名士四十一魔法師が動くことになるも、ミエド=マレブランケはその後どこにも姿は現さなかった」
ミエド=マレブランケの悪魔伝説。
その話を聞き、一瞬にしてその場には緊張感が流れ出す。震え、脅え、今にも逃げ出したい衝動に駆られる。
それでもイージスは剣を握り、ミエドの前に立ちふさがる。
「おいおい、あの少年の話を聞いていなかったのか?俺は強いぞ」
(強い、か。《夕焼けの剣》がない以上、あの技を高威力で撃つことはできないだろうな。無駄に魔力を消費することは懸命ではない)
多少戸惑いはあった。不安もあった。本当にこの男を倒せるのかどうかという疑問もあった。
だがここで戦わなくては、この男を倒さなくては、五神という存在はいつまで経っても倒せない。
「ミエド=マレブランケ、お前を倒して先へ進む」
イージスの剣には火炎が纏われた。
ミエドは大剣を大きく振り上げ、そしてイージスへと振り下ろす。イージスは避け、地面には大剣によって大きな亀裂が入る。
大剣を振り下ろしてすぐ、ピットはミエドへと矢を放つ。だがすぐさま大剣を振るい、矢を弾きピットを吹き飛ばす。吹き飛ぶピットは二階建ての家屋に壁を破壊し転がった。
「よくもまあそんな大剣を素早く振れるな」
「絶望しろ。君らじゃ勝てない」
ミエドは剣を振り上げ、そしてイージスへと振り下ろす。これは避けられないと感じたか、火炎を纏う剣で弾いた、が、今の一撃で剣は壊れた。
「やはり《夕焼けの剣》がないと……」
「逃がすかよ」
「〈
巨大な盾がミエドの剣を易々と防いだ。盾にはひびすら入らず、ミエドは感心する。
「レンタル魔法、〈
ミエドの背後、そこで札を受けていたクイーン。札が消えるとともに、ミエドの全身は爆発に包まれた。さすがに予知できなかったか、ミエドは全身に傷を負う。
だがそれでも、ミエドは倒れない。
振り向いた彼は、クイーンを見つけた。
ミエドは背中から漆黒色の羽を一つ生やすと、勢い良く空へ飛翔した。大剣を上へ振り上げた直後、勢い良く下にいるクイーンへ投げ飛ばす。
「はぁぁぁぁああ」
イージスは先ほど創り出した盾を投げ飛ばし、巨大な剣へとぶつけた。剣は見事に吹き飛んだ。
「暗黒龍」
上空に滞在するミエドは、イージスへと手をかざした。手からは黒い靄のようなものは龍の形となったイージスへ進む。
「飲み込め」
「隙ありだね」
スカレアは腰に差していた刀を抜き、そして飛翔した。ミエドの背後から刀を振り下ろす、だがミエドを覆っている黒い靄はスカレアの刃を通さない。
まるで龍の鱗のような硬さであった。
スカレアは距離をとるも、ミエドは瞬時に手をかざす。ミエドの手には微かに暗黒がこべりついている。
「捕まえた」
黒い靄はスカレアを覆い、身動きがとれなくなっていた。
「浄化せよ。
光がスカレアを覆っている黒い靄を包み込んだ。黒い靄は消え去り、スカレアは何とか抜け出した。
「ありがとう。ヒーリシア」
「ああ」
舌打ちをするミエド、そのミエドの頭上には一人の女性が剣を握り現れた。彼女は一瞬にしてミエドを斬り伏せ、そして地に降り立った。
ミエドは何が起きたのか分からず、斬られたことにより意識を薄れさせていた。
「まだ生きているのか。しぶとい奴だ」
羽を失い、徐々に堕ちていくミエド目掛け、その女性は水を纏った剣で無数の斬りを入れた。
「お前ら、分かっているんだろうな。学園を辞める?」
「君らのような才能を持つ者を、そう簡単に辞めさせはしませんよ」
そこに現れたのは、アリシア=コウマ、そしてもう一人、彼らの担任であるカーマ=インドラ。
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