三年生編

第150話 まだ見えぬ彼女らの旗

「ねえ、やっぱ私たちはあいつがいないと駄目なんだ。だから行こ」


 一人の少女は皆へと言った。皆もそれには共感しているようで、首を縦に振った。

 一人の少女が去り、それまた少年が去ってからというもの、そこは寂しくなってしまった。だから彼女らは彼を取り戻すために、彼らも心を一つに決意した。


 大切なのことが何か解ったから。

 本当に大切なことを理解したから。

 だから彼女らは彼と彼女の辿った足跡を辿るように、彼女らもその一歩を安全な一本道から遠ざけていく。


 迷いはない。

 今の彼女らに迷いはなかった。ただ、少しばかりの寂しさはあった。

 これが最後の別れになってしまうかもしれない。この学園との、最後の別れになってしまうかもしれない。


 ーーだがそれでも、

 彼女らはあの日々を思い出し、恋い焦がれた。

 またあの日常に戻るために、また楽しかった日々に戻るために。

 壊れた過去をなぞるように、彼女らは歩み出す。


 後悔はしないために。

 後悔をしないために。


「二人を、取り戻す」

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