第131話 インフェルノVSサー
いよいよ最後の戦いが幕を開ける。
ここまで見事な戦いを見せた二人の魔法使いは、どちらが強いのかをここではっきりさせるだろう。
『会場:闘技場
インフェルノ=ナイトメアVSサー=ヴァント』
最後の戦いには相応しいと言えるであろうその会場ーー闘技場。二者は互いに向かい合い、剣を構えて向かい合っていた。
そして試合開始と同時、サーは手を軽く斬って血を出した。するとサーの背後には天使が出現する。だがどの瞬間、インフェルノは勢いよく斬りかかる。それを天使は軽々と弾いた。
「一足遅かったか」
「たとえ天使を召喚するのが間に合わなかったとて、魔法で防御を展開して防いでいたさ」
「それもそうだな」
インフェルノは不敵に笑うサーを睨みつつも、握る二本の剣へと火炎を纏わせた。
「最初から本気で行くぞ」
「来い。全て返り討ちにして、圧倒的なまでの力の差を知らしめてやろう」
サーはインフェルノへと手をかざす。すると水で創られた矢がインフェルノへと降り注ぐ。それを剣で弾きつつ、インフェルノは何度もサーへと斬りかかる。
だが鉄壁とも言える天使の守備に、インフェルノは未だに傷一つつけられない。それどころか、己ばかりが傷を負う始末。
(あの天使が邪魔だ。弱点もなければ火力が恐ろしいほどにある。それにあの剣、恐らく魔法の威力を軽減、いや、消滅させているのか。そのせいで剣に纏わせた火炎があの剣に触れた瞬間に消える……)
インフェルノは勝つ算段などなく、無鉄砲に攻撃を仕掛けるばかりであった。戦いの中で弱点を探そうにも、サーの魔法による援護攻撃が厄介であった。
「もっと攻めてきても良いぞ」
サーの挑発になど耳も貸さず、インフェルノは何度も天使へ斬りかかる。
上、下、右、左と果敢に攻めるインフェルノであったが、どこも死角ではないのだろうか、どこから斬りかかってもまるで悟っていたかのように防がれる。
「なら、」
インフェルノは天使の頭上へと飛ぶや、剣を振り下ろして火炎を滝のように浴びせた。火炎は天使を飲み込むも、魔法を消失させる剣が火炎を消した。
だが天使が剣を振り上げている隙に、インフェルノはサーの背後へと接近した。
「はぁぁぁあああ」
「天使」
足下からは突風が吹き荒れ、見事にインフェルノは宙へ舞う。無防備となったインフェルノへサーは剣を振り下ろす。激しい金属音が響く。それはインフェルノが剣で攻撃を弾いたからであろう。
「なるほど。まだ仕留められないか。まあちょうど良い機会だ。あれを試してみよう」
サーは魔方陣を生成し、その中から漆黒色の鍵を取り出した。その鍵を天使へ向け、扉を開くようにして鍵を回すと、天使の容姿はみるみる変わっていった。
美しく羽ばたかせていた羽を黒く漆黒色に染めた。純白に鎧は漆黒に包まれ、全身が光沢のある漆黒色へと変化した。
「さあ行け。天使よ」
圧倒的速さ、まばたきすら出来ぬ一瞬で天使はインフェルノの懐へと移動し、その刹那、剣は振り上げられた。インフェルノは血反吐を吐きながら宙へ舞う。
畳み掛けるように、天使は吹き飛ぶインフェルノの腹部へと剣を振り下ろす。剣がインフェルノへ触れるとともに巨大な爆炎がインフェルノを覆った。
(何が……起きている!?)
インフェルノは状況が飲み込めていなかった。
圧巻なその速さになす術なく攻撃を受け続け、意識は朦朧としていた。そして地面へと直撃したインフェルノへ、天使は剣を振り下ろそうとしていた。
(……まだぁぁあ)
鈍い金属音が響き渡った。
インフェルノは寸前で立ち上がって天使の剣を弾きはしたものの、腕力に気圧され、インフェルノは後方へと体勢を崩した。
「まだぁぁぁあ」
再度振り下ろされる天使の剣、インフェルノはもう一本の剣で弾くも、その威力にさらに体勢を崩した。
無防備なその一瞬を狙い、天使は横一閃に剣を振るった。とともに紫黒色の爆炎がインフェルノを包み込む。
試合終了。
未だ全力を見せていなかったサーの魔法に、試合を見ていた者たちは言葉を発することさえできないほどに驚嘆していた。
一位と二位。
その差が歴然としている、いや、し過ぎていることに、ただ呆然と攻撃の的になることしかできない。
戦いの中でサーの圧倒的強さを思い知ったインフェルノは、苦い表情で天使を見ていた。
「これまた……化け物がいたものだ」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
全ての試合は終了した。
そして魔法戦は幕を閉じた。
『1位、名門ヴァルハラ学園
2位、都立ホーヘン学園
3位、貴門ハーク学園
4位、秀才アマツカミ学会
5位、優秀セントリー学園
6位、閃光ライトニング学院
7位、愛嬌プリティー学院
8位、竜門テンペスト学校
9位、平均シエラ学院
10位、奇才キリン学園』
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