第130話 グランVSサー

『会場:草原

 グラン=シャリオVSサー=ヴァント』


 圧倒的火力を有する二人の戦い。

 これより、幕は開ける。


 開始早々、先に仕掛けたのはグランであった。キドウ戦同様、巨大な隕石郡を出現させた。サーはすかさず剣を抜き、自らの血を贄として天使を出現させた。


「〈深紅血贄天使ブレイド・リエル〉」


 サーの背後には剣を腰に差した天使が出現する。


「〈深紅血贄天使ブレイド・リエル〉。一つ残らず隕石を破壊しろ」


 天使は剣を頭上の隕石郡へとかざした。そして次の瞬間、無数の魔方陣が出現し、それらの魔方陣からは光の剣が放たれる。隕石郡はあっという間に消失した。


「〈深紅血贄天使ブレイド・リエル〉。次はあの男を攻撃しろ」


 サーの命令通り、天使は目前にいるグランを標的として定めた。

 グランは隕石郡が全て破壊されたことにはあまり驚いてはおらず、ようやく戦える、そんな笑みをこぼしながらサーへと右手をかざした。


「機関銃」


 グランの手からは無数の銃弾が放たれる。それと同時、天使は剣を振り下ろした。銃弾は全て弾かれ、剣が振り下ろされたことにより発生した斬撃がグランへと進む。


「防御壁」


 グランが左手をかざすと、斬撃は何かに弾かれたようにして消失した。


(これが圧倒的火力と圧倒的防御力か……。想像以上だな)


 グランの強さに、サーは驚いていた。


「〈深紅血贄天使ブレイド・リエル〉。自由に動け。俺も戦おう」


 そう言うと、サーは剣を構えた。そしてその背後で天使も剣を構えている。


(ようやく動くか。サー=ヴァント)


 淡い期待を抱いているのだろうか、グランはサーへと攻撃を仕掛けに進んだ。走っている最中、グランは無数の銃弾を放ちながらサーを攻撃していた。

 だが銃弾は全て天使が斬り裂き、サーは剣を構えてグランを待ち伏せていた。


「〈超感察ステイタス〉」


 グランは足下に仕掛けられている地雷魔法に気づき、咄嗟に飛び上がった。だがしかし、そこにも罠の魔法は仕掛けられていた。

 爆発がグランを襲う。だがそれすらも感知していたか、グランはその爆発を無力化し、爆風にのってサーへと飛びかかった。


 グランは両腕を機械のようなパーツで覆い、その拳でサーへと殴りかかった。だが執拗に天使が攻撃を守備し、グランはサーへと攻撃を与えられない。


「ちっ。邪魔だな」


 グランは銃弾を天使へ浴びせるも、天使の鎧を貫くことはない。

 隙だらけのグランへ、天使は剣を振り下ろした。だがグランは見えない防御壁を展開し、攻撃は防がれる。


「天使が邪魔だな」


 グランが着地した瞬間、激しい爆炎がグランを飲み込んだ。

 そこには罠が仕掛けられており、グランは口から煙を吐いて吹き飛んだ。そんなグランへ、サーと天使は同時に剣を振るった。


「防御壁」


 未だグランは倒れず。

 何とか攻撃を防いだグラン、だがどういうわけか、背後に潜んでいたサーはグランの腹へと剣を突き刺した。


「透明化か……」

「グラン。無鉄砲な攻撃には意味がない。だから君は俺に勝てない」


 試合終了。

 この勝負には決着がつき、サーが最終戦へと残った。


「次が最後の戦いか。恐らく残っているのはインフェルノ。ブレイド、楽しみだな」

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