第128話 インフェルノVSスフィア
『会場:戦場跡
インフェルノ=ナイトメアVSスフィア=ラピスラズリ』
残っているのは兵士によって造られた堀や壕の跡、そして火薬のにおい。やけに鼻を刺激するそのにおいに、インフェルノは少しばかり機嫌を損ねていた。
「こんなところで戦わなくてはいけないのか。全く、とても面倒だな」
そう言うとインフェルノは剣を二本抜いて、慣れた手付きで構えた。
一方、インフェルノの場所を既に捉えていたスフィアは、息を潜めて狙いを定めていた。
(さようなら。インフェルノ)
インフェルノは何かを感じ、ふと空を見上げた。すると光の如く速さで、インフェルノへと青い流星が落ちてきた。インフェルノは何とか直撃を回避したものの、すぐそばに落下した流星は地面を破壊し、衝撃波がインフェルノを襲った。
衝撃波にのまれたインフェルノは、声を漏らして宙を舞っている。そのインフェルノへ追い討ちをかけるが如く、スフィアは再度魔法を発動した。
未だインフェルノが衝撃波に体をのまれている最中、空には青い流星が一つ降ろうとしていた。
インフェルノは手を流星へとかざし、その手からは火炎の柱が放たれた。炎柱は流星を粉々に砕き、もう一発の流星の落下は阻止できたーーかに見えた。だがしかし、流星の背後にはもう一つ流星が隠れていた。
「なっ!?」
逃げ場がない、そう瞬時に察したインフェルノ。落下した流星は地面を砕き、巨大な土塊を巻き上げた。砂煙が周囲を覆い、立ち込める火炎に騒然とする観客たち。
そこが何の会場だったか分からなくなるほどに跡形もなく消え去って、残ったものは流星の落下によってできた巨大なクレーターのみ。
スフィアは隠れていた堀の中から出るや、遠く離れたクレーターを見ていた。
さすがの生きていないだろう、そう感じた矢先、スフィアは身を逸らした。その直後、焔の矢が足下へと刺さった。
「まさか……!?」
「安心しろ。私の反撃はこれからだ」
頭上には、焔の羽を背に生やしているインフェルノがいた。彼女は剣を二本握り、スフィアへと斬りかかった。スフィアは咄嗟に氷の盾を創造するも、インフェルノの剣の一振りで容易く盾は破壊される。
(まずい。速く体勢を立て直さないと……)
スフィアは距離をとろうと後ろへと下がった。だがそれを読んでいたかのように、インフェルノはスフィアの背に火炎の柱を出現させた。
「凍てつけ」
火炎の柱はすぐに凍りつき、スフィアは氷の柱を足場に駆け上がった。逃がすまいと、インフェルノは必死に追うが、スフィアは突然振り返った。
スフィアの手には魔方陣が形成されており、そこから無数の氷塊がインフェルノへと降り注ぐ。
「無駄だ」
インフェルノは全身に火炎を纏い、氷塊を解かしながらスフィアへと突撃を仕掛けた。
「終わりだ」
インフェルノは二本の剣を同時に振り下ろし、そして試合は終わった。
激しい戦いが終わった後、インフェルノは疲労からか、魔法を解除して座り込んだ。そんなインフェルノを、スフィアは鋭い目付きで睨み付けていた。
「スフィア。お前はどこの学校だ?」
「アマツカミ」
そっけない返答が返された。
「なるほどな。学会か。なあスフィア……」
だがインフェルノが止めるのを聞かず、スフィアはそそくさと帰っていった。
仕方なしとため息を吐き、インフェルノは空を見上げた。
「さてと、残っているのは誰かな」
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