第123話 ブックVSメリー
『会場:砂丘
ブック=アカシックVSメリー=クリスマスイブ』
砂が足場を覆う会場。じめじめとした空気が漂い、砂が風に乗って吹き荒れていた。その中に立つ二人の人影。
一人はその佇まいをヴァルハラ学園二年生は知っているであろう男ーーブック=アカシック。彼は左手に赤い書物を持つや、目前にいる敵を前にして右手をかざす。
ブックがかざしている女性、彼女は愛嬌プリティー学園で今最も期待されている一年生であり、彼女の目はブックを倒すと言っているかのように鋭い威圧を放っていた。
「砂の竜、サンドワーム」
彼女を取り囲むようにして、砂で創られたかのような巨大な蛇が出現した。その魔物はメリーを視界に入れるや、勢いよく襲いかかった。
「〈
火炎がその魔物へと直撃すると、砂も残さずその魔物が消えた。だが背後にはその魔物が出現し、宙へと身を漂わせているメリーを食らうようにして襲いかかった。
メリーは咄嗟に風魔法を放ち、自らの身を吹き飛ばした。
だが宙へと舞っているメリーは攻撃の的となる。
メリーの真下にある足場の砂は浮き上がり、弾丸のようにして彼女の体へと放たれた。すかさずメリーは火炎を放ち、砂を灰と化した。
「強いな」
「私は期待されている。相手がたった一年先輩ならば、私が負けることはない」
「言うじゃないか。随分と舐められたものだな」
ブックは水の球体をメリーへと飛ばした。メリーは音魔法で水を弾けさせた。
「まだまだ」
メリーの足下の砂は隆起し、弾けて宙へと舞った。そして飛散した砂は宙へと漂うと、雨のごとくメリーへと降り注いだ。メリーは避けられないと思ったのか、遠く離れたブックへと手をかざした。
(無駄だメリー。その距離からでは、俺に攻撃することは……)
ブックはそう言いつつページをめくった。そのページを見た瞬間、ブックは驚きのあまり声も出ずに固まった。
「ここ距離で!?」
メリーの手から放たれた雷撃は砂丘を焼け焦がし、ブックの体へと直撃した。全身に痺れが駆け抜けたブックは口から煙を吐き出し、そのまま後ろへと倒れた。
決着はついた。
ブックの傷は完全に治り、メリーは勝利を噛み締めていた。
「なるほど。彼女には期待できる」
ブックは敗北し、悔しさを感じつつも会場を後にした。ブックは本を閉じ、スカレアのもとへと向かった。
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