第118話 イージスVSリューズⅡ

 石の床に背をつけたイージスは、天井を見つつ深呼吸をした。そしてさっと立ち上がり、再度剣を構える。

 その後、足音とともにリューズが現れた。


「まだ立ち上がるか」

「当然」


 とはいえ、あの一撃を受けたイージスは多少腹には来ていた。重たい剣の一撃を受けたのだ。普通ではいられない。だがそれを顔に見せないイージスに感心してか、リューズは「そうか」と呟き飛びかかった。


「お前。やはり私を楽しませるには十分だよ」


 イージスは重たいリューズの剣を受け止めるも、その気迫や威力に体を押し潰されそうになっていた。


(重い……それに強い)


 リューズの剣を何とか受け流すも、リューズは素早く剣をイージスの顔へと振るう。咄嗟の判断力で避けたが、あまりの速さに頬にはかすり傷ができていた。


「まだだ」


 リューズは剣を振るい、イージスを一方的に追い詰める。魔法を使えない状況では、イージスはどうしても攻めきれない。


「イージス。お前の力はその程度か」


 リューズの一方的な試合に、イージスは既に限界を向かえていた。不必要に剣を何度も弾かれ、体力では圧倒的にイージスの方が減っていた。


(魔法が効かない以上……剣で攻めるしかない……けど、剣ではリューズさんの方が強い。勝てない……)


 イージスは諦めかけていた。そんな中、イージスは後方へ下がろうと魔法を発動した。


重風ドドンパ

 重たい風を放つ魔法。


 その魔法を放った瞬間、どういうわけかリューズはその魔法によって吹き飛んだ。


「魔法が……効いた!?」


 イージスはその事実に目を見開いて驚いた。そして考え、咄嗟にひらめいた。


(そういうことか。その鎧、防げるのは火属性魔法のみ。たとえ他にも防げた属性があったとしても、風属性魔法は防げないか)


 リューズは剣を地に刺して立ち上がる。するとイージスは勝利を確信したのか、笑みを見せていた。


「リューズ=アズカバン。勝たせていただく」

「なるほど。勝機を見つけたか。だが、」


 リューズは剣を握り、イージスへと斬りかかる。イージスは剣へと風を纏わせ、リューズが横一閃に振るった剣を華麗に避けた。そして一回転し、風を纏わせた剣でリューズの横腹に一撃を入れた。その瞬間、


「〈風揺エリブル〉」


 リューズの体には振動が駆け抜け、その感触にリューズは震え、吹き飛んだ。


「とどめだ。〈風矢リロー〉」


 風の矢を無数に創製し、その矢をリューズの体目掛けて放った。リューズはその矢を全身に受け、激しく地面に体を打ち付けた。

 そして倒れたリューズの首もとへ、イージスは剣を突き立てた。


「僕の勝ちだ」


 そう言われ、リューズは敗北を認めた。


(これが今の二年生か。私が負けてしまうとはな)


 リューズはイージスに感服し、立ち上がってイージスに言った。


「私の分まで勝てよ。イージス=アーサー」

「任せてください。リューズさん」

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