魔法戦二日目

第117話 イージスVSリューズ

 魔法陣取り戦が終わってからというもの、ヴァルハラ学園の活躍は目にあまるものであった。だがしかし、それに負けじと都立ホーヘン学園はついていった。


「よし皆。明日こそは誰もが活躍できる戦いだ。愛嬌プリティー学院はここから逆転しますよ」


 知的に言うその姿勢に、女子たちは爆笑の渦に飲まれていた


「先生。安心して見ていてください。私たちは、十分強くなりましたから」

「リム。まあ頑張れよ。速くクレープを奢りたくてうずうずしているんだから」

「先生。絶対無理だと思っていませんか?」

「それはどうかな」


 先生は頬を上げつつそう言った。リムは頬を膨らませ、「もう」と言って先生の顔を覗き込む。


「リム。明日の戦いは個人戦。それにお前の得意分野だ。全力で頑張れよ」

「分かってますよ」



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 大会当日。

 現在までは名門ヴァルハラ学園が一位、二位には都立ホーヘン学園という並びであった。この二校は僅差であり、十分に逆転の可能性があった。



『1位、名門ヴァルハラ学園

 2位、都立ホーヘン学園

 3位、貴門ハーク学園

 4位、秀才アマツカミ学会

 5位、優秀セントリー学園

 6位、閃光ライトニング学院

 7位、竜門テンペスト学校

 8位、平均シエラ学院

 9位、奇才キリン学園

 10位、愛嬌プリティー学院』



 魔法戦二日目。

 今日が魔法戦の最終日であり、そして今日行われるのは一種目のみ。その種目とは、一対一で繰り広げられる競技、その名も魔法戦。

 参加者は全生徒であり、その数は相当な人員である。その中でも頂点に立つ魔法使いを、今決めることとなっている。


『種目名:魔法戦

 会場:???』


 魔法戦場に存在する会場は五十ほど。その会場全てで一斉に魔法戦が行われる。参加者の相性などもあるが、会場によっては不利になる魔法使いが多く出る。それこそ魔法戦だ。


 イージスがランダムで選ばれた会場は、『天空遺跡』

 その会場には幾つもの石で造られた石像や石碑があり、地面は石の床である。その会場は高度が高いせいか風が強く、それ対策で魔法を消費しなければないけない。

 そこでの対戦相手は秀才アマツカミ学園四年生、リューズ=アズカバン。


「イージス=アーサー?それが私の対戦相手か」


 微笑み、彼女は会場へと足を運んだ。

 腰には名のある剣を携え、全身には鎧を身に纏っている。マントをはばたかせ、長い髪を後ろで結ぶ。


「イージス=アーサー。私は強い。だからといって降伏はするなよ」

「リューズさん。少しばかり僕を舐めすぎですよ」


 そう言い、イージスは魔方陣の中から剣を取り出した。


(今まで学んできた多くをここに集結させろ。この者に勝つには、それができなければ負ける)


 イージスは対戦相手の熟練さを感じつつ、剣を構えた。

 深く深呼吸をし、試合が始まるのを刻一刻と待っていた。神経を尖らせ、既に頭の中で何度も魔法発動のシミュレーションをする。


「では、試合開始」


 その瞬間、イージスは魔法を放った。


「〈重火ドドンカ〉」


 イージスの剣からは火炎が放たれ、リューズへと直撃した。だがしかし、リューズの鎧に触れた瞬間、火炎は弾けて消えた。


「魔法が……消えた!?」

「すまないな。これが私の魔法鎧でな、魔法を消す魔法だよ」


 イージスが驚き、体勢を崩した瞬間、リューズは剣でイージスの腹へと一撃を入れた。イージスは吹き飛び、背後にあった遺跡の中の地面に転がった。


「これが……四年生か……」

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