第114話 魔法陣取り戦

「では続いての競技に参ります。続いての競技は、魔法玉入れ」


 魔法玉入れ。

 この種目では、制限時間内でいかに玉をポールの上に取り付けられた穴に入れられるかという競技である。

 今回はイージスも参加し、そして相手校である都立ホーヘン学園には、魔法の天才と巷で呼ばれている者が参加していた。


「一回戦、開始」


 イージスは操作系の魔法で玉を操り、穴に次々と玉をいれていく。だがそんな中、ホーヘン学園の天才児、パーフェクト=ヒューマンは無数の玉を操って竜巻を発生させ、いとも容易く無数の玉を穴にいれた。


『魔法玉入れ、結果

 一位、都立ホーヘン学園

 二位、名門ヴァルハラ学園

 三位、愛嬌プリティー学院……』


「ここに来てホーヘン学園が追い上げてきている」

「そうだね。そろそろこっちも点をとらないと」


 アニーは準備運動をし、次の種目に備えていた。


「続いての種目は、魔法陣取り戦」


『種目名:魔法陣取り戦

 会場:西洋風市街地』


 魔法陣取り戦。

 この種目では、九つある陣を時間制限まで多くとっていた方の勝ちという戦い。陣の場所はあらかじめ教えておらず、危険を承知で街を徘徊しなくてはいけない。

 この種目では一校対一校の戦いである。


「まずは都立ホーヘン学園対名門ヴァルハラ学園の戦い」


 各校三十名ずつ。

 名門ヴァルハラ学園はトール=ツカサを指導者とし、陣形を整えて戦いを始めた。


 名門ヴァルハラ学園、トール=ツカサ、アニー、エリザ=エリザベス、ノーマン=ユリ、セント=オリヴィア、カトー=イリノヤ、ブック=アカシックなどのメンバーで挑む。


「アニーはエリザとともに最北部にて陣地を探せ。見つけ次第すぐに報告せよ。敵と遭遇した場合もすぐに報告だ」

「「はい」」


 アニーとエリザは最北部の市街地で陣地を探していた。

 するとそこへ、竜にのった男が一人現れ、アニーたちは魔法にて咄嗟に姿を隠す。


「スカーレット。配置につきました」


 その男は竜にのったまま、周囲の様子を監視していた。


「これでは迂闊には動けない……。アニー、私は今から報告をする。その間あの男を見張ってくれ」

「はい」


 アニーの背後には魔法通信機で会話をしているエリザがいた。


「トール。敵が一人、最北部にて在中している。どうしますか?」

「お前のところもか」

「どういうことですか?」

「今現在、全てのメンバーから報告が来た。偵察しに来た場所が監視されていると」


 トールは呆れたようのため息を吐いた。


「ではこのままでは……」

「ああ。戦況は動かない。だからといって、こちらから動いて何かしらのトラップに誘導される可能性もある。とはいえ、攻めるのが得策。エリザ、戦わない程度で動け。あとは独自の判断に任せる」

「了解」


 エリザは通信をきった。


「アニー。あいつが攻撃してくるかは分からない。だから攻めるよ。アニーは煙で相手の視界を塞いで。その間に二手に分かれて動く。あとは独自の判断に委ねた」

「はい」


 アニーは煙を発生させ、男の視界を塞いだ。その瞬間、アニーとエリザは走り出した。


「作戦開始」

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