第113話 魔法射戦撃Ⅱ
魔法射撃戦二回戦、勝者、名門ヴァルハラ学園
魔法射撃戦三回戦、勝者、都立ホーヘン学園
魔法射撃戦四回戦、勝者、都立ホーヘン学園
魔法射撃戦五回戦、勝者、都立ホーヘン学園
……
それからも幾つもの戦いが行われ、そして最後の戦いが幕を開けることとなった。
いよいよ、アニーの出番だ。
(私は、負けない。勝って、越えたいんだよ。自分自身の壁を)
アニーは慣れない銃を手にとって、一番使いやすいと感じたスナイパーライフルを構えて戦場に立った。全身を迷彩色のローブで覆い、姿を森の中に潜ませる。
アニーのペアは四年生魔法忍者のボルト=ライデンという男であった。
「もう一人脱落してるか……。ボルト先輩、どうしますか?」
「銃声はなかった。今はむやみに動く時ではないだろう。だから気配を消して待機」
二人は気配を消し、森に紛れる。とその時、銃声が響き渡る。
「アニー。行くぞ」
ボルトはハンドガンを一丁握り、周囲に警戒しつつ森を縦横無尽に駆け回る。その姿は素早く、目で追いきれない。
(さすがはボルト先輩。速すぎる)
感心していたその最中、地面は突如揺れ始め、その瞬間になぜか六名が一気に脱落した。
揺れが収まり、ホッとした直後、狙っていたかのようにハンドガンを持った男が二人飛び出してきた。
「〈
ボルトは電撃を放ち、男二人は痺れた。そこをアニーは撃ち倒した。
「これであと一人か」
と思ったところで、突如地面が砕けて宙へと舞い上がった。破片は空を泳ぐようにして舞い、アニーは何とか免れたが、ボルトは瓦礫の中に紛れていた何者かに額を貫かれた。
アニーはとっさに生存者リストを見た。
「都立ホーヘン学園、ダブル=スコッチ……」
瓦礫が宙へと浮いている。そして男はそこから銃弾を何発も放ってきている。対してアニーは足場の悪い地面でしりもちをつき、頭上を眺めていた。
(このままではただ撃たれるだけ。それでは勝つことなんてできないじゃないか。今の私は魔法銃士。戦うんだ。私は)
アニーはゆっくりとスナイパーライフルを構えた。微弱な音すら出ない構えに、周囲は沈黙を保っていた。
引かれた引き金、降り注ぐ銃弾、集中する意識。
頬に銃弾がかすろうとも、アニーは冷静に狙いを定めていた。当然その狙いとは、宙に浮かぶダブル=スコッチ。だが彼を囲む瓦礫の壁に銃弾は通ることをかなわないだろう。
ーーそれでも、
たった一時、アニーは集中していた。
(
アニーは標準を定め、引き金を引いた。銃弾は宙を泳ぎ、そして瓦礫の壁にぶつかったーーだが、銃弾は止まらず。
銃弾は瓦礫を貫いてダブル=スコッチの頭部に直撃した。
「私の勝ちだな。この戦いは」
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