第108話 猛獣ハンターⅢ

 サー=ヴァントとイージス=アーサーは隻腕の巨人を前に、立ちはだかった。


「さてと、どうすれば良いものか」

「なあサー=ヴァント。そういえばお前、魔法コンテストで会った以来だな」

「そうだな。まあ今は、目の前の敵に集中しようぜ」


 そう言っている間にも、隻腕の巨人はイージス目掛けて拳を振るう。イージスはそれを見抜き、《夕焼けの剣》で拳を受け流した。体勢を崩した隻腕の巨人へ、サーは天使で攻撃を仕掛ける。

 天使は隻腕の巨人の足を斬ろうと剣を振るうも、異常な硬さに剣は弾かれた。


「さすがに強いな……」

「僕らだけで倒せるか?それに制限時間も迫っている」

「イージス。そう弱音を吐くな。私の天使はまだ全力など出していない。お前もそうだろ」

「ああ。そうだな」

「ならば、我々の本気を奴に見せつけてやろう」


 イージスは剣を振り上げた。

 たった一度の攻撃であろうと、その一撃は凄まじい威力であり、それは神をも恐れる一振りであった。イージスは木々を足場とし、まるで疾風の如く戦場を駆け抜ける。

 その閃光を追うことは叶わず。その閃光においつくことは叶わず。

 彼が振るう一撃は、やがて天へと届くのだろう。そして今、その一撃は放たれた。


「〈絶対英雄王剣アーサー〉」


 剣の一振りにより、隻腕の巨人は体を真っ二つに斬り裂かれた。すると心臓のあたりにはまだ巨大な結晶が堂々と存在していた。


「核があったか。ブレイド、閃光の一撃をお見舞いしろ」


 天使は核と平行に並ぶと、両手を天へと振り上げた。


「天よりもたらされし祝福よ。今、我が前に立ちふさがる巨敵を打ち払い、戒めの剣を射し込めたまえ。ああ、我は深紅血贄天使ブレイド・リエル。貫け、天の雷」


 一筋の閃光が空から降り注いだ。その閃光は一直線に隻腕の巨人の核へと進み、そして閃光が通りすぎた直後、結晶は粉々に砕け、弾け飛んだ。

 そして隻腕の巨人は灰のように消失していった。


「タイムアップ。これにて、二回戦終了」


 イージスとサーは互いに向かい合い、拳を軽くぶつけた。


「やるじゃないか。一年生」

「一年生じゃない。二年生だ」


 二人は会場を後にする。

 そして結果が発表された。



『一位、名門ヴァルハラ学園、イージス=アーサー

 一位、都立ホーヘン学園、サー=ヴァント

 三位、貴門ハーク学園、レイ=ベルモット

 四位、閃光ライトニング学院、スピニング=クロスシューズ

 五位、秀才アマツカミ学会、ローズ=フラワー

 六位、竜門テンペスト学校、オーズ=ウィング

 七位、奇才キリン学園、ナーヴル=タイガー

 八位、優秀セントリー学園、ハンモック=ウィザーズ

 九位、平均シエラ学院、リシェル=アズー

 十位、愛嬌プリティー学院、ミーシャ=アーノルド』

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