第107話 猛獣ハンターⅡ

 二回戦が始まる少し前、アニーはクイーンとイスターを連れ、猛獣ハンターという種目が行われている会場へと足を運んでいた。


「アニーお姉ちゃん。イージスお兄ちゃん勝てるかな?」

「ああ。あいつは強いし、それにあいつ自身が考えた魔法があるんだよ。必ず勝つさ」


 三人は会場を眺め、イージスがどこにいるかを探していた。


「イージスいないね」


 隠密魔法でも使っているのだろうか、アニーですらイージスを見つけることはできなかった。


「イージスの出番はまだではないのですか?」

「いや。確かにあいつはこの種目の二回戦に出場するはずなんだが……」


 と言葉を紡いでいる時、始まりの鐘は鳴った。

 モンスターが一斉に会場であるジャングルに現れ、アニーたちはそれを会場から見守っている。

 参加者たちがモンスターと交戦する中で、一際目立っている男がいた。


「何だあの天使は!?」


 皆が注目していたのは、都立ホーヘン学園生徒、サー=ヴァント。

 彼が使う魔法、〈深紅血贄天使ブレイド・リエル〉によって召喚された天使は、次々とモンスターを倒していった。だがしかし、未だにイージスは現れない。


「やっぱおかしいよ。どうしてイージスお兄ちゃんは……」

「いいや。クイーン、イージスはいたよ」


 そう言い、アニーは笑っていた。

 イスターは熱源反応を感じ取る目があったお陰で、イスターも気づいていた。


「そういうことだったんですね」

「全く、イージスは面白い奴だ」


 この会場では、モンスターがわき出る場所には一定の法則がある。それは必ず地面から姿を現すということ。

 そしてその場所を魔法を使って見抜いたイージスは、透明化する魔法〈隠黙ダウト〉によって姿を隠し、そこからわくモンスターを一網打尽にしていた。

 端から見れば突然モンスターが死ぬ様子であるが、アニーはそこにイージスがいるのだと確信していた。


「へえ。イージスお兄ちゃんはそんなことを。でもそれは危険すぎない?」

「ああ。もしそこから勝つことができないモンスターが現れたのだとしたら……」


 そう言っている間にも、イージスが狩っている場所からモンスターがわき出てきた。


「何だあれは!?」


 そこに現れたのは、十メートルほどの隻腕の巨人。ちょうどそこへ、サー=ヴァントが駆けつけた。


「そこの少年、君は何体倒した?」


 透明化していたイージスであったが、イージスは透明化を解除した。


「二十二体」

「そうか。では一匹足りないな」


 そう言うと、サー=ヴァントは背後から近寄ってきた鹿のようなモンスターは天使に斬らせた。


「これで同じく二十二体」


 サー=ヴァントは一度隻腕の巨人へ目を向け、イージスに言った。


「そこで提案だ。あのモンスターをともに倒さないか?」

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