魔法戦編
第102話 魔法戦前日
休み時間。
僕とアニーはいつも通り他愛ない会話をしていた。
「イージス。もうじき他校の学校と何か戦うらしいよ」
「そう言えば職員室の前を通った時に偶然にも聞こえたんだがな、"魔法戦"とやらをやるらしいぞ」
「魔法戦?」
アニーは首をかしげた。
イージスは説明しようと口を開いた時、カーマ先生が教室へと入ってきた。
「はーい。皆席につけ」
カーマ先生の指示通り、二年A組の生徒たちは皆席へとついた。
「今日は大事な発表がある。皆、心して聞けよ」
カーマ先生は何かを持っているようだが、それが何かは分からない。まあ紙ということだけは分かるが。
「今年から行事を更に増やしていこうというふうになったのは知っているな」
「「「はい」」」
「そこでだ、今日この日、新たな行事を行うこととなった」
そう言うと、カーマ先生は黒板に指をかざし、触れずに文字を書いてみせた。僕たちはその文字を心の中で読んだ。
「明日、ヴァルハラ学園も含め、十校にて多くの幾つかの種目で勝負をする。その行事の名は、"魔法戦"だ」
魔法戦。
魔法使いという本業を発揮できないことが多かったこの学園にて、魔法使いの力量を計ろうとするために行われる魔法戦。
(ノーレンス理事長はよくこんな面白いことを考えられるよな。さすがに驚いたよ)
カーマ先生は何やら笑みをこぼした。
「では、明日の魔法戦に備え、皆良く眠れ」
そして今日は解散となった。
明日の魔法戦で心が浮き足立ち、それをアニーは悟っていた。
「イージス。そんなに楽しみなのか?」
「ああ。何か凄くワクワクしてる。きっと魔法戦は楽しいものなのだろうな」
「ああ。そうだろうな。だがイージス、張り切り過ぎて怪我したりとかするなよ」
「僕はそんな馬鹿じゃないさ」
と言った矢先、段差につまずいて転んだ。
「相変わらずイージスは」
そう言ってアニーは手を差し伸べた。僕はその手を掴み、立ち上がった。
「ほらね」
アニーは笑っていた。
僕は言葉も出ず、その笑顔を見つめていた。
「帰るよ。イージス」
「あ、ああ」
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