第101話 まだ戦いは始まらない、
ヴァルハラ学園へと帰ってきた教師とカーマが担当しているクラスである二年A組の生徒たち。
彼らは理事長室にて、ヴァルハラと話をしていた。
「理事長。今回の作戦にて、死者は出ませんでしたが、生徒を危険に晒したにも関わらず、怪盗団のメンバーを捕らえることができませんでした」
アリシアは深々と頭を下げた。それに続き、教師たちは皆頭を下げる。
「頭をあげよ。正直言って、怪盗団は魔法ギルドの金色魔法使いでも捕まえられなかったらしい。そんな彼らを我々が捕まえることは難しい」
「ですが……」
「我々は戦闘員ではない。だからこそ、この戦いで死者が出なかっただけで満足している。だからそう悔やむな。生徒たちを無事帰還させられたことだけで、十分だよ」
理事長は立ち上がり、生徒と教師を見な帰らせた。
その後、理事長はひっそりとカーマと呼び出していた。
「カーマ。先ほど話そうとしていたことを話してくれ」
「先ほど……ですか?」
「ああ。私は時々未来を自分の意識とは別で予知できる。そこで見たんだよ。お前がイージスについての重要な話をしようとしていたことが」
「なるほど。では報告いたします」
理事長は椅子に座り、話を聞く体勢になった。
「今世界を騒がせている〈魔法師〉なのですが、そのメンバーのトールが魔法遺跡ヴァルハラ二出現しました。それは私がイージスを背負い、サウスと帰っている時のことでした。目の前にトールが現れ、彼はイージスを見ながら言ったんです」
ーーイージスを死なせるなよ。
「なるほど。少なからずイージスのことを知っているのか」
「はい。彼はイージスとの直接の関わりはないものの、イージスと直接関わりのある何者かと知り合いであると言っていました」
「そうか。なるほどな」
理事長は振り返り、ふと考えた。
「カーマ。他には何も言ってなかったか?」
「はい。特に何も言っていませんでした」
「そうか。なら良い。今日はゆっくり休めよ」
「はい。失礼します」
カーマが去った後、理事長は立ち上がって窓越しに空を見上げた。
「〈魔法師〉。ようやく本格的に動き出したか……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます