第99話 怪盗団逃亡
魔法遺跡ドラグーン。
現在遺跡内には怪盗団、ヴァルハラ学園教師、トール、七界竜がいた。
そして今、ヴァルハラ学園の教師四人が怪盗団のメンバーと対峙していた。
「誰か。団長を瓦礫の中から助け出せ。私がこいつらの相手をする」
そう言って前に出たのは、怪盗団No.2、リリース=ビジョン。
彼女は怪盗団の中でも相当の腕前だ。
「リリース。お前一人じゃさすがに無理だ」
「しかも九頭竜が二人」
「そもそもさ、相手が四人で来るのなら、十六人全員で戦った方が速く終わるだろ」
そう言いながら、頭から血を流した怪盗団団長がメンバーの先陣へ足を運ぶ。
怪盗団全メンバーが戦闘態勢に入った。
だがしかし、多数に無勢であるはずの教師たちは怯んではいない。
「ウォーター。お前は下がっていろ。あとは私に任せておけ」
ハーブ=ノコリガ。
彼女は魔法調合士であり、あらゆる調合薬を世に生み出してきた。彼女は戦闘は得意ではない、はずだ。
本来、魔法調合士はサポート役。しかも戦闘には参加しない方が多い。だが彼女は十六人の前で足をとめた。
「怪盗団団長、ダイヤモンド=ルージュ。世界をまたにかける大泥棒。君はここで終わりだ」
「ハーブ。君は戦闘が得意なのかい?」
「ああ。少なくとも君を
ハーブは葉巻を口にくわえた。ハーブは指を鳴らし、葉巻を燃やして煙を発生させた。煙は次第に空気中へと密集し、この一室を埋め尽くした。
「幻覚症状を起こさせる煙か。魔法使いは煙を一瞬で払えるさ」
団長が手を払うように振ると、煙は一瞬にして周囲へと飛散した。
「無駄だよ。ハーブ」
「おや。何を言っている?私は魔法調合士だぞ」
どういうわけか、いつの間にか地面に水が流れていた。
「これが私の調合術。さっきの煙は魔法に触れると水に変わる。そしてこの水はとある性質を持っている」
怪盗団のメンバーは皆水に足をつけている。そんな彼らは違和感を感じて下を向いた。ハーブとウォーターは水に浸かることなく、丁度瓦礫の上に立っている。
「この水が空気を含むと、その直後に凍てつく氷となり変わる」
足は氷に包まれて、身動きがとれなくなっていた。
「さすがは魔法調合士。だがこちらにはまだ武器がある」
背後から忍者服を着た男が刀を握ってアズールとリュウグウへと斬りかかった。
笑みをこぼす団長。だがしかし、ハーブも笑みをこぼしていた。
斬られたと思っていたアズールとリュウグウであったが、二人は斬られた瞬間に煙に変化した。
「煙よ。捕らえろ」
煙は忍者服男の周囲をうろつき、そして捕らえた。
「ハルコウ……」
だがしかし、煙が彼を包み込んだ瞬間に煙に捕らわれていたハルコウの姿は消えた。
「実像分身か。お陰で私とウォーターしかいないことがバレてしまったか。まあ良い。既に怪盗団のメンバーは捕らえた。あとは魔法ギルドの奴らが来るのを待とうか」
「ハーブ。残念ながら俺たちを捕らえることは何者にもできない。帰るぞ。イージスは今回は渡してやるよ」
そう言うと、暴風が吹き荒れて、竜巻が魔法遺跡の中に吹き荒れた。竜巻が怪盗団メンバーを覆い、竜巻が消えると怪盗団メンバーは姿を消した。
「ウォーター。作戦は失敗だ。この遺跡から速く帰還を……」
ハーブが振り返った。その直後、雷鳴とともに雷が遺跡へと降り注いだ。雷の着地点には、トパーズ色の目をしたトールが立っていた。
「イージスは、どこだ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます