第94話 教師出動
イージスは目を覚ました。すると彼は檻の中に囚われていることに気づいた。
「ここは!?」
「イージス。私は怪盗組織メンバー、アタナシア=アーティファクト。君を拐いに来た」
「は!?」
イージスは驚いていた。それもそうだろう。
今さっき入った転入生の私が、その日に行われた授業でいきなり正体を名乗ったのだ。当然の反応と言っても過言ではないだろう。
「イージス。もう私は行かなくてはいけない。じゃあな」
僕の目には映っていた。
罪を背負っているような、そんな悲しい顔をしていた。
(どうしてお前は、そんな悲しい顔をしているんだよ。アタナシア……)
「アタナシア。無理矢理やらされているんだろ。だったら僕は救いに行く。だから……」
「余計なお世話だよ。私はこの道を歩んだことを後悔していないんだから。後悔したくないんだから」
強い口調で言い放ち、アタナシアは去っていった。
どうして彼女がこんなことをしているのか分からない。それにどうして彼女はあんなに悲しい顔をしているのか分からない。けどきっと、これは彼女が望んだことじゃない。それだけははっきりと分かるんだ。
私は仲間たちのいるアジトへと戻っていた。
「アタナシア。イージスはどうだった?」
「特に何もない。ただ身動きひとつとろうとしていない。どうやら相当ショックらしいぞ」
そう言うと仲間たちは爆笑し、ビールをがぶがぶと飲む。
(まだ会って数分じゃないか。どうしてそんな私を救おうとする?どうして……。君はまだ……私の悪い面しか知らないじゃないか……)
私の心はどういうわけかうごめいていた。何か分からない感情を抱えつつ、私は隅で座っていた。仲間たちの騒ぎ声が耳を通ることはなく、私は顔を膝の中に埋めて考え込む。
(どうしてあんな男ごときに、こんな思いをしないといけない。後悔なんて、今まで背負ってこなかったはずなのに……どうして。どうして、どうしてこれまでの罪を悔いている?)
そんな中、仲間たちは慌て焦り始めていた。
「どうした?」
「大変だ。ヴァルハラ学園の教師陣が、どういうわけかこの遺跡に侵入している」
ヴァルハラ学園教師陣。
ドラグーン遺跡内にて、六手に別れて遺跡を徘徊していた。
一班、アリシア=コウマ、スナイプ=ハンター。
二班、エスト=クロニクル、ジュリアス=クエスト
三班、カミソリ=クールガイ、ビビッド=サンダーボルト
四班、ハーブ=ノコリガ、ウォーター=ブルー
五班、アズール=コースター、リュウグウ=ミコ
六班、カーマ=インドラ、サウス=キャットハニー
それぞれの班に九頭竜が一名ずつ。
彼らは今、ドラグーン遺跡にて探索を開始する。
「これより長らく足取りをつかめなかった怪盗団を捕まえる。アタナシア=アーティファクトという機械を盗み出した怪盗団を一斉に捕まえよ」
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