第93話 アタナシアの正体

 イージスを先頭に、私たちは魔法遺跡ドラグーンがないかを探していた。だがそう簡単には見つからなく、イージスたちは半ば諦めようとしているみたいだった。

 場所を知っている私からすれば、もうすぐでつくと教えたいところだ。


「イージス。何か奥に見えない」


 私はそう言った。するとピットやヒーリシアたちは先ほどまで下ろしていた腰を上げ、勢いよく森の奥へと向かった。


「これが……魔法遺跡ドラグーン!?」


 ピットたちの視線の先にあったのは、巨大で大きな遺跡であった。外見は竜の鱗で包まれており、大きさはヴァルハラ学園よりも少し小さいくらいだろうか。


「スゴいよ。アタナシア」

「偶然見えただけだよ」


 これで魔法遺跡ドラグーンへと向かえる。

 私はどうしても魔法遺跡ドラグーンへと向かわなくてはいけない。その理由は……


「では向かうぞ」


 イージスはいつの間にか剣を構え、遺跡の中へと入っていく。

 あれ?そういえば合図の花火は上げないの?

 などと疑問を抱いている内に、イージスはどんどん中へと入っていった。


「なんかモンスターの声が聞こえない?」


 横には水路が通っており、モンスターの鳴き声ばかりが聞こえている。

 早速不穏な空気が漂う中、イージスは奥へ奥へと入っていく。


「シャアアアア」


 モンスターの声とともに、全方向をモンスターが囲んでいた。


「まずいな……」


 イージスは剣をかまえ、モンスターを威圧する。だがモンスターは退かず、むしろ牙を見せつけて襲いかかってきた。


「はああああ」


 イージスは剣でモンスターを斬り倒していく。だが数が多く、倒しきれない。

 そんな時、私は背後からモンスターの声が聞こえた。とっさに振り向くと、そこにはトカゲのようなモンスターが天井に張り付いていた。そのモンスターは私へと飛びかかった。


「アタナシア」


 イージスは剣でモンスターを斬るが、そのモンスターは死ぬと爆発する。イージスはその爆発を受け、私をかばいながら川の中へと落ちていく。


「イージス」


 水路の流れに逆らえず、私とイージスは水路の奥へと進んでいった。


(マスター。目標を捕らえました。これよりエリア17へ向かっています。すぐに救援を)


 意識を失ったイージスを抱え、私は水路の中を泳いでいた。まるでその遺跡の中を知っているかのように進み、とある一室へとたどり着いた。


「アタナシア……。ここは……」


 薄目を開け、イージスは私に問う。


「イージス。ごめんね。大人しくしてくれると、ありがたいんだけど」


 私はイージスへ手をかざし、雷魔法を放った。


「痺れていて。私は君を捕まえないといけないんだよ。だって私は、そのためだけに創られたんだから」

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