第71話 部外者
イフという謎の女性にイージスは連れ去られていた。巨大な龍の背中にのって向かうは、ヘルメス家の家がある方向だ。
「イフ……と言ったか。一体、クイーンの身に何があったんだ?」
「それは……まだ言えない。だが一つ約束してほしいことがある」
「ああ、クイーンを救えるのなら何でも聞こう」
「ここから先はヘルメス家の領地だ。だから姿を隠す魔法を使え。あと私がお前をここに連れてきたということは言うな。もしお前が捕まったとしても、私はクイーンを見捨てたくはない。だから約束してくれ」
「わかった」
「では飛ばすぞ」
既にヘルメス家領地。
そこへ入った瞬間、龍にのった一人の兵士がイフのもとへと寄ってきた。
「副隊長。隊長が呼んでおります。今すぐ向かってください」
「ああ。了解だ」
龍を走らせ、イフはヘルメス家の巨大な家へと堂々と入った。彼女の背後には、魔法を使って姿を消しているイージスがいる。
心臓の鼓動が早まる中、イフはとある扉の前へとついた。
「イージス。恐らくここにクイーンはいる。ここからは慎重に行動をしろ。でなければ、彼女のためにもならないからな」
そう言うと、イフはイージスのもとから去った。
一人取り残されたイージスは、恐る恐る扉を開けてその部屋へと入った。すると、そこはまるで大会の観客席のように席がぎっしりとあり、その中央には巨大な空間があった。イージスは下に何があるのかと眺めた。するとそこには……
「クイーン……」
アイリス聖と戦っているクイーンの姿があった。
どうやらレンタル魔法は使おうとはせず、普通の魔法のみを使ってアイリス聖と戦っている。だが力の差は歴然。
クイーンは身体中怪我だらけで、その様は見るに耐えない様子であった。
イージスはクイーンを助けようと足を進めるが、先ほどのイフ言葉がストッパーとなって彼の動きを止めた。
「クイーン。その程度ではこの先の世界では生きてはいけぬぞ」
「はああああ」
アイリス聖の懐へと忍び込もうとするクイーンであったが、どれだけ走ろうともアイリス聖のもとへはたどり着くことはない。アイリス聖は躊躇いなく魔法を放ち、クイーンを傷つける。
イージスは剣を魔方陣から抜き取ると、それを握ってそこから飛び降りようとした。だがイージスの腕を掴み、一人の男がイージスを止めた。
「やめておけ」
「ローゼン」
ローゼンも〈
「イージス。彼女の教育に他者が、部外者が関わるな」
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