第54話 対千年巨人
千年巨人。
それはかつて戦争のために創られた無敵の兵器であり、そしてそれは誰にも止めることができない化け物でもあった。
「エクイオス隊長……」
瓦礫の下から出てきたエクイオスは、兵たちには目もくれず、ただ頭上の巨人に目を移していた。
その巨体から窺えるは、全てを破壊し尽くすであろう巨体。歩く度に民家がいくつもぺちゃんこに潰れ、村の人々は逃げ惑う他なかった、
「リーフ」
「任せろ」
リーフは笛を吹き、笛の音を千年巨人へと届ける。だがさすがにあの化け物は操れないのか、千年巨人が止まることはなかった。
「イージス」
「ああ。こうなったら戦うしかない」
イージスは魔方陣の中から《夕焼けの剣》を取り出した。その剣を頭上で構えると、イージスは千年巨人の足へと斬りかかる。
「せめて足止め」
だがしかし、イージスの剣は千年巨人の鋼鉄な体へは通らない。あまりの強度にイージスは少し驚いている。
イージスの一撃に起こったのか、千年巨人は真下にいるイージスを潰すように足を振り上げた。
「踏み潰される……」
「〈
爆炎は刃の形となって千年巨人の胴体へと直撃する。その攻撃に体勢を崩した千年巨人は、村を破壊しながら背中を大地につけた。
風圧に吹き飛ばされそうになるも、イージスは耐えてリーフとともに火炎が降った方向に目を移す。
「お前ら。この村を護れずして、兵士になれると思うなよ。我エクイオスが隊長を努めるからには、この村の人々は誰一人死なせない。それにだ、お前たち仲間も死なせない」
エクイオスは背後に控える兵へとそう呼び掛ける。
エクイオスは右手に握る槍を構え、矛先を立ち上がろうとしている千年巨人へ向ける。
「長きにわたる眠りから覚めたばかりのあの化け物へ、裁きの鉄槌を下す。さあ兵士ども、戦えぇぇええええ」
エクイオスが千年巨人へと火炎を放つとともに、兵たちも千年巨人へと火炎を浴びせる。その猛攻に、さすがの千年巨人も疲れている……などということはなかった。
千年巨人は火炎を浴びせられる中でも堂々と立ち上がり、時折火炎を弾いてその火炎が村へと燃え上がる。
「リーフ。あの巨人を止める方法はないのか?」
「恐らくだけど、あの巨人は体内に貯蔵されているエネルギーのみで稼働している。つまりはそのエネルギーが尽きれば、私たちの勝利が決まる」
「なるほど。足止めさえしていれば……か……」
イージスは考え込む。
このままではじきにここにいる者たちは千年巨人に倒される。それを回避するには、凍らせる以外には術はないのかもしれない。
「どうするか……」
「イージス。ひとまず私たちも戦おう。恐らくどこかしらに弱点があるはず。そこさえ見つければ、あの巨人は止められるはず……」
リーフは疑心暗鬼に言う。
だが術はもうそれ以外には残っていない。
「イージス。まだ私たちがいる」
そこへ現れた二人の少女。
「アニー!イスター!」
「「私たちも、あの巨人を倒す手伝いをする」」
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