第53話 千年巨人
モンスターの大群にいち速く気づいた兵士は、急いで村中に大声で呼び掛ける。
「大変だ。モンスターの大群が、この村を攻めてきたぞ」
だがその頃、兵士たちを統括するエクイオス=イグニードは、この村について探ろうとしていた二人の少女を追いかけていた。
だがエクイオスは村全体に包囲網を引いていた。その兵士たちがその声を聞き付け、急いで村の門へと走った。するとそこには、無数のモンスターたちが既に近くにいた。
「門を閉めろ」
門は次第に閉ざされた。
急いで兵士たちは門の上へと上り、そこから襲い来るモンスターたちへと矢を浴びせる。
「モンスターを一匹たりともここを越えさせるな」
矢が何発も放たれ、モンスターは村へと侵入を拒まれている。だが黒丸が先陣を切る。
「お前ら。あの先頭の狼を狙え」
今まで多くのモンスターへと放たれていた矢が、今はただ一匹、黒丸を狙って放たれている。だが矢は黒丸が纏う風の盾に弾かれ、いとも容易く黒丸は壁を破壊して村へと侵入した。
「喰らってやる。俺たちが、今まで死んだ仲間の仇を討つんだ」
黒丸の侵入を許したことで、そてに続いて多くのモンスターが村へと侵入した。既に兵はモンスター正面衝突しており、戦いは止められなくなっていた。
「逃がすな」
「モンスターを一匹残らず殺せ」
血に飢えた者たち。
「仲間の仇」
「喰らえ。俺たちの力を見せつけろ」
仲間の仇を討つ者たち。
様々な欲望が渦巻く中で、多くの者たちが戦場で暴れている。その影響は凄まじく。圧倒的であろう。
その混乱に乗じてか、アニーとイスターは兵たちの包囲網から抜け出した。
二人を追っていたエクイオスは、見失ったことに腹を立て、槍を一振りして家を一つ跡形もなく吹き飛ばした。当然、家の家主は男へと怒る。
「何をする。わしの家に」
「黙れ」
エクイオスの殺気に、家主は黙り込み、尻餅をついた。
エクイオスは二人を追うのは諦め、とある場所へと足を運ばせる。
まるで洞窟の中のような空洞音が鳴り響き、エクイオスの足音がやけに響き渡っていた。その中をエクイオスは進み、そして目の前の一つの祠の前でエクイオスは足を止めた。
「まさかこれを使う時が来るとはな」
エクイオスは槍を振り上げると、その槍を祠へと叩きつけた。祠は完全に砕け、すると黒い何かが周囲へと飛散した。
「これが……世界最強のモンスターの気配か……。スゲーな」
エクイオスは感激し、思わず槍を下げて警戒心を解いた。だがそれが間違いであった。祠が破壊された場所からは巨大な何かが出現し、その巨大な何かがその場所を突き破って地上へと現れた。
村の大地から突如出現した化け物に、村の人々はただ驚くのみであった。
「何だ……あれ…………!?」
それはまさに巨人。全身が鉄で覆われており、腕には鎖が巻かれている。そんな巨人は大地を破壊しながら進み、それに黒丸たちも怯えるばかりであった。
「リーフ。あれを」
「まさか……どうして千年巨人の封印が解かれている!?」
見上げたリーフは、ただ驚くのみであった。
ーーそして森は終わる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます