第46話 サンダーVSスカーレット

 魔法剣士祭。再開。

 あの騒動から三日が経ち、魔法剣士祭は再び開催された。今回は魔法ギルドの警備を入れ、観客席には魔法が使えなくなる結界を張った。

 そして今、決勝戦が開かれる。


「さあ、決勝戦。スカーレット=ナイトメア対サンダー=ライデン。栄光を掴むのはどちらか」


 会場に現れたスカーレットとサンダー。

 両者は魔方陣を創製して剣を抜き、互いに向かい合いながら構える。


「では、魔法剣士祭決勝戦、開始」


 試合開始のアナウンスが流れるも、両者は向かい合ったまま攻撃は仕掛けない。


「スカーレット。今の気分はどうだ?」

「どうって、正直勝てるとは思ってないよ。それでもさ、諦めることだけは、やっぱできないよね」

「良い目になったじゃないか」


 スカーレットの目は真っ直ぐにサンダーを見ている。今までの迷っていたスカーレットではない。


「そろそろ始めるか」

「いいでしょう。ま、勝つのは俺だがな」

「いいや、ボクですよ」

「ではかかってこい。過去の自分に抗い、そして自分を変えてみせろ。それができなければ、お前はまだまだ三流だ」


 スカーレットは剣を上へと振り上げ、火炎を纏わせる。


「もう昔の私じゃない。今の私は、魔法剣士だ」


 スカーレットは火炎を纏い宙を駆け、そしてサンダーの正面へと立った瞬間に剣を振り下ろす。その剣をサンダーは電撃を纏った剣で受け止める。


「はああぁぁああ」


 スカーレットの剣を弾き、サンダーはスカーレットの肩を突く。だがそれは完璧に読まれており、サンダーの空いた懐へとスカーレットは火炎の一撃をお見舞いする。

 電撃のシールドを展開して防いだとはいえ、サンダーの体には相当なダメージが行き渡る。


「さすがに強いな。優勝候補は」

「サンダー。まだ本気は出していないようだね。それじゃまだまだアマチュアだよ」

「では本気を出そうかな」


 サンダーは電撃を纏いつつ一般人が目で追うことがかなわない速さで駆け抜けている。だがスカーレットも負けじと火炎を纏いながら駆け抜け、サンダーと剣を交える。

 両者の剣が重なる度、剣は激しい音を立てて火花を散らす。その音が何度も何度も響き、会場である荒野は既に半壊状態。積み重なった岩の山は跡形もなく消失していた。


「そろそろ決着をつけようか?」

「そうだな」


 サンダーとスカーレットは止まり、互いに向き合って剣を構える。

 スカーレットは剣を上へと振り上げ、火炎をまるで竜巻でも起きているかのように震わせる。

 対するサンダーも剣を振り上げ、そこに落雷して落ちた雷がその剣へと宿った。


「『紅蓮一閃』」

「『巨雷一閃』」


 サンダーとスカーレットの剣が振り下ろされるとともに、火炎と雷はぶつかり合った。

 その瞬間に白煙が周囲を覆い尽くす。


「どう……なったんだ?」


 もちろん観客はどっちが勝ったのかが気になっている。観客席で見ているイージスも目を凝らして会場を見ていた。

 煙が周囲へ飛散するとともに、会場には一人の魔法剣士が剣を突き立て立っていた。





「勝者…………サンダー=ライデン」

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