第5話 手紙

今日はね


あの人にね


お手紙を書いたわ


なんて書こうか


すごく迷ったけど


結局ね


ありのままの事を書いたわ


どうなのかしら?


受け止めてくれるかな


それとも


拒絶されてしまうかな


不安と期待がまじりあって


とっても変な気持ちだわ


進まない時間


止まらない時計


通り過ぎる空間


すり抜ける思い


すれ違うこころ


そしてまた


私はそっと


あのガラスの扉を開く


今日はどんな人と


巡り合えるのかしら


楽しい人だといいな


悲しい人でもいいな


ともに分かち合えたなら


それが私がここにいる意味だから


そうよ


私は透明なウェディングドレスを


みにまとったお人形


そしてまた


私はガラスの扉をそっと閉じる


嬉しかった


楽しかった


辛かった


悲しかった


入り混じる思いが


私を支えてる


そしてまた


私の思いが


誰かを支えてる


あの人からお返事がきたわ


開けるのが怖いけど


開けるのが楽しみ


まあ不思議ね


私の思いが


こんなにも伝わるなんて


一つ一つの文字が


こんなにもあたたかい


またお返事を書くわ


こうやってつながっているだけで


本当に心が通じ合える


ガラス越しでもいいわ


そうよ


時々ね


そのガラスに私の顔が映るの


あなたのも映っているのかしら?


こうやって


お互いの顔を見つめ


お互いの心を見つめ合う


そしてまた


あなたが訪ねてくるのを待っている

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