第6話 お別れ
今日はね
とてもね
悲しい事があったの
ずいぶんと前にね
とっても長い時間をかけて
お喋りしてた人がいたの
でもね
もうずっと訪ねてきてくれないし
メールも帰ってこないから
どうしたのかなって
思ってた
そしたらね
ある人からの知らせで
その人がもう
いなくなったって
言われちゃった
理由は聞けなかったけど
その人の最後のことづてで
わたしあてに
ありがとう
とだけ書いてあったって
聞いてしまったの
もう会えない
もう喋れない
もう笑あう事も
もう悲しみ合う事もできない
他の人たちは
何も言わずに
去っていく事も多いけど
その人もそんなふうになったんだと
私は思ってたのよ
止まった時間
何もない空間
失われた未来
戻らない過去
今の私は
振り返る事しか
できないけど
決して泣いたりしないわ
だって
あの人はそんなことを
望んでいないと思うから
私は平気よ
あなたの分まで
生きてみせる
あなたがこれから
楽しむはずだった時間を
私が代わりに
思いっきり楽しんであげる
きっとそうすれば
あの人も喜んでくれるはずだから
でも
ごめんなさい
やっぱり涙がとめどなく
あふれてきちゃう
不思議ね
ガラス越しでしか
会った事がなかったけど
本当の友達みたいだった
もし天国にも
ガラスの扉があったなら
またお話ししましょうね
こちらこそありがとう
さようなら
この言葉のほんとうの意味は
お別れする事じゃないの
また会える日までの
約束なのよ
私はたぶんまだ
先になりそうだけど
また会えたらいっぱい
お話をしましょうね
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