第138話 VS黒き竜④
キースは上空でくるくると大剣を回すと、大剣を逆さまにして両手で構える。
「”竜堕とし”――この俺様が、竜殺しだ!!」
青く光り輝く大剣。
”黒き竜”を覆うほどのその光は、まるで流星の様に夜空を駆け、”黒き竜”を地面へと叩き落す。
キースは衝撃で吹き飛び、地面へと倒れこむ。
「う――おぉおおおおおあああああ!!」
ライラは間髪入れずに”黒き竜”へと突進していくと、地面に落ちて怯んでいる”黒き竜”の口を素手で強引に開く。
牙が腕や肩に突き刺さるが、その痛みなどものともせず、最後の力を振り絞る。
「やれ、雷帝……!」
「へっ……行け……雷帝!!」
俺は低空姿勢で走り出し、真っすぐに突き進む。
大勢の仲間が繋いだ、”黒き竜”への道を。
そして、大きく開けられた”黒き竜”の口に右手を突き立てる。
「――終わりだ、“黒き竜”。目覚めたところ悪いが、死んでくれ」
「ガァ——」
瞬間、右手の”火雷(レッドスプライト)”が輝きを放つ。
青色とオレンジに輝く稲妻は、一瞬視界を奪うほどの光を放ち、そして一気に光が凝縮され、そして一筋の閃光となって弾ける。
圧縮された雷は、”黒き竜”の喉の奥から脳天をぶち抜き、空へと向かって光の道を作る。
「「「!!」」」
遅れて”黒き竜”の体が膨張し、身体全体が瞬間的に燃え上がる。
「グウオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!!!!」
今まで聞いたこともないほどの叫び声が、ヴェールの森にこだまする。
稲妻が”黒き竜”の体内で無数に暴れまわり、肉体が膨張する。
まばゆい光があふれ出し、雷鳴をとどろかせる。
そして、一瞬白く発光したのち――”黒き竜”は、内側から崩壊した。
「はあ、はあ、はあ……」
息も絶え絶えに、俺は腕を”黒き竜”の口から引き抜く。
”黒き竜”の首から下は、跡形もなく消え去っていた。
俺はライラとキースの方を見ると、静かに拳を突き上げ、そして仰向けに倒れ込ん
だ。
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