第9話 魔物と戦う前に練習しようか?

「それじゃあ、ウプシロン帝国首都星エリューズの首都に向かおうか?」


「ちょっと待ってよ、ソウタ! 本物の魔物と戦う前にシュミレーションしてみようよ?」


「そうだね、ユウト。

 ゲームじゃないんだから、いきなり魔物と戦うのはリスキーだよね?」


「その通りだよ」



「ソウちゃん、魔法も練習したいかな?」


「そうだよねリンちゃん、女子は魔法がメインになるかもしれないから特にね」


「うん」



「テンプレだと、ファイヤーボールからかなぁ?」


「それなぁ」



「じゃあ、あの木を目掛けてやってみようね」


「「「「はぁあい」」」」



「まず、俺がやってみるからね、【ファイヤーボール】!」


 ボワッ、ドォオオオンッ!


「出た!出来た!……当たったぁぁぁ!」


「オオゥ」


「「「ワアアアッ!」」」


 木は燃え上がり、焦げて黒ずんでいく。



「テンプレ通りですなぁ。それじゃあ僕が、【ウオーターシュート】!」


 ジュボオオオオオォォォッ!


 ユウトの指先から水が勢いよくほとばしり、消防車の放水の様に、燃え盛る木の炎を消してしまった。

 白い煙がモクモクと立ち上っている。


「や、やったー!」



 クミがメモ帳を何処からか取り出して、何か書き込んでいた。


「ファイヤーボール、と、ウオーターシュート……」




「ねえねえソウちゃん。その魔法って、私達も出来るでしょう?」


「たぶん、その筈だよ」


「うん……。クミちゃんヒナちゃん。やってみようよ!」


「「はぁあい」」



「心配だから3人一緒に『せ~の』で行くよ?」


「「うん」」



「ファイヤーボールでね?」


「「うん」」



「せ~の」


「「「【ファイヤーボール】!」」」


 ボワッ、ボワッ、ボワッ!

 ドドドォオオオオオンッ!


「出た!」

「出来た!」

「当たったあああ!」


「「ウワオゥ!」」



 3人の手の平から放たれた3つの火の玉が、既に黒焦げてる木に全て命中した。


 木は再び激しく燃え上がり、炭のように赤くなっている。




「上手くいったねぇ。それじゃあ僕が再び【ウオーターシュート】!」


 ジュボオオオオオォォォッ!


 ユウトの指先から水が勢いよくほとばしり、消防車の放水の様に、燃え盛る木の炎を消してしまった。

 白い煙がモクモクと立ち上っている。



「リンちゃん達も睡眠学習の効果が出ているみたいだね」


「うん、なんかぁ、デジャブの様なぁ、やったことあるよねぇって、感じがするかなぁ」


「「うんうん」」



「それでねリンちゃん、次は手の平じゃなくて、杖を向けて魔法を撃ってみようね?」


「あっそうかぁ! そうだよねぇ、テヘペロだね。

 ソウちゃん、他にもゲームに出てくる魔法を教えてくれる? 魔物と出会う前に練習したいから」


「そうだね。じゃあ次は、ウインドカッターをやってみようか?」


「「「「はぁあい」」」」



 一通り思いつく魔法を試してみたが、全て思い描いたとおりに成功した。

 睡眠学習で経験した事を無意識に再現しているのか? 呪文とか詠唱とか発声に関係なく、覚えた魔法を使えるのか? とにかく今の所は、日本のゲームと同じに魔法が使えている。




 俺達5人が、今の所使える事を確認した魔法は次のとおりだ。


火属性魔法

 ファイヤーボール(火弾)

 ファイヤーアロー(火矢)


水属性魔法

 ウオーターシュート(放水)

 ウオーターバレット(水弾)


風属性魔法

 ウインドカッター(風刃)


土属性魔法

 ソイルバレット(土弾)

 ピットフォール(落とし穴)


光属性魔法

 ヒール(回復)

 キュア(解毒)


闇属性魔法

 ブラインド(盲目)

 コンフュース(混乱)




「ねぇソウちゃん、サッちゃんをここに置いていくの?」


「う~ん……この船はもう動かないと思うよ」



「ソウタ、収納出来ないかな? ゲームと同じで無限収納(インベントリ)があれば、宇宙船だって入るかもよ?」


「う~ん、インベントリがあったとしても、こんなに大きい船が入るかなぁ? 取り敢えず試してみようか……。

 フンスッ! アイテムボックスに軽巡洋艦CL5501を収納!」


 …………


「アイテムボックスは反応無しかぁ。

 それじゃあ……、スゥゥ、ハアアァ、スゥゥ、ハアアァ、……フンスッ! 

 インベントリに軽巡洋艦CL5501を収納!」


 シュィイイイイイイイイイインッ!


 なんと! 目の前から軽巡洋艦CL5501が消えた。



「入ったぁぁぁっ!」


「入ったねぇ。ははは……」



「良かったわ、サッちゃんを連れていけて!」


「「良かったねぇ」」

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