第2話 アンドロメダ行き寝台特急!?

 アンドロメダ銀河ウプシロン帝国所属の無人軽巡洋艦CL5501は、緊急探索任務中に未確認の念波をキャッチした。


 急速次元跳躍をして、天の川銀河の太陽系第3惑星に近づき、その生命体を確認する。


 ブゥウウウウウウウウウウンッ!


 軽巡洋艦CL5501は、眩い光を発しながら空高くから一気に加速して、地球人の目の前に現れた。



《念波を送って来た生命体にコンタクトを試みます。まず最も原始的方法の二進法でコンタクトします》


 カチカチ、カチカチ……。



《応答なし。次に簡易的な光の三原色の点滅にてコンタクトします》


 ピカピカピカピカ……。


 軽巡洋艦CL5501は、赤青黄の光の3原色のコンデンサを彼方此方あちこちで無数に明滅させた。




「まるで何か話しかけているようだ……」


 ソウタはそう呟いた。


 リンが女子部員から離れて、ソウタに近づいてくる。


「ねぇねぇ、ソウちゃん。私達ってキャトルミューティレーションされちゃうの?」


 幼馴染同級生部員のリンが、顔を上に向けたままでソウタに話しかけた。



《現地生命体の雌から、3原色光の応答に反応あり》


『我々にこの星に来て欲しいのですか?それとも我々の星に来たいのですか?』



「リンちゃん、キャトルミューティレーションは、牛が無血切除で解体されてる状態のことを言うんだよ」


「ひっ! そうじゃないやつっ! 連れてかれるやつ!?」



『我々のアンドロメダ銀河ウプシロン帝国首都星エリューズに、一緒に連れて行って欲しいのですね?』


「リンちゃん、連れてかれるのはいいの? UFOに拉致されるのは、アブダクションって言うんだよ」


「うん、そっち!」



《現地生命体の雌から、同行の意志を確認いたしました》


「何と言うかぁ、落ち着いてますなぁ」


 と、ユウトが呟いた。



《現地生命体5体に牽引ビームを照射致します》


 ピッカアアアアアアアアアアンッ!


 UFOの中心が眩しく光り、一筋の光りの線が地面を照らしたと思うと。線が帯と成り、筒と成り、急激に広がって。文芸部員5人は光の筒に囚われてしまい、UFOの中に吸い込まれていってしまった。





 軽巡洋艦の中は広い部屋が1つだけで、何も無いし、誰も居ない。

 5人は体を動かす事が出来ず、言葉を発する事も出来なかった。


 床が楕円形に開き、下から白い2メートルぐらいの楕円形カプセルが5個せり上がって来る。

 文芸部員5人はあがらう事が出来ずに、そのカプセルの中に寝かされてしまった。

 甘いガスが噴出されて、スグに睡魔に襲われた。



『これから2,537,000光年離れたアンドロメダ銀河の帝国首都星にお連れいたします。

 限界最高速度でのハイパータキオンドライブで約5万年かかりますが、冷凍睡眠で次に目が覚めた時は、首都星に到着する直前となります。

 肉体的に老いる事はありませんが。意識無く寝たまま移動してしまうのは無益な事なので、最先端の睡眠学習バーチャル空間で、様々な仮想現実を経験する事をお勧めいたします。

 ぜひ、アンドロメダ銀河最先端の情報をお楽しみください。

 仮想空間ではA.Iサリーナが、きめ細かいサービスでご案内致します』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る