11.

「学校。行けて、ないんですか?」


 それを話すのは、くつうだった。


「あ、ごめんなさい。勝手にいろいろ訊いちゃって」


 彼女。黙る。


「同級生を三人ぐらい」


 そこで、呼吸がつまった。景色を眺めて。落ち着くのを。待つ。


「同級生を、三人ぐらいぼこぼこにしちゃったんです」


 自分の右腕。見つめる。


「気付いたら、その三人が転がってて。自分が、なんというか、そういう、わるい人間なんだなって」


 なにも、覚えていない。


「ぼこぼこにしたときの記憶が、ないんです。気付いたらそうなってて。それで」


 それから。


「それから、ずっと、ここに座って、ひとりでいます」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る