10.

 ふたりで、景色を眺めた。風にあたる、ノートブック。


「いつも、ここにいるんですか?」


「ええ、まあ。他にやることもないので。学校も行けてなくて」


「そのノートブック。なにか、描いてるんですか?」


「むかしは、描けてたんですけど。もう、描けなくて。この景色を描きたいとは、思ってるんだけど、ずっと、描けないままで」


「いい景色ですね?」


「ほんとに、いい景色です。ずっとここにいたいと、思えるほどの」

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