【2-7】2020年4月21日  ライド

俺達は今平野をゼルハースに乗って駆け抜けていた。頬を切る風が気持ちいいし、前から漂ってくるパンタフェルラさんの匂いが香しい。


今回、北西にある村に向かうらしく、支部の近くで客待ちをしていた御者に頼み、その足で西門に向かった。そのまま出ていくのかと思いきや、西門の入り口近くにある商店で拡張袋から取り出した大量の魔核と何かの魔獣の部位を売り払い、必要な物資と思われるものを買い集め、付近に居た商人からゼルハースを借りて王都を発った。


その準備速度が凄まじく、まさに熟練の冒険者って感じがするな~と感心していたら、俺はいつの間にか平野を走っていた。ゼルハースに乗った事があるか?と聞かれたのでホルハースすら無いと答えたら、仕方がない、とパンタフェルラさんの後ろに乗せられたからだ。遠慮がちにパンタフェルラさんの腰に手を回していたら「ライド、鼻の下伸びてるぞ」とロダンさんとアーラさんにからかわれたのが恥ずかしかった。


ホルハースで丸1日の距離と支部では聞いていたが、どうやらゼルハースだと半分以下の時間で着くらしい。到着予測は大体夕方頃。別に不思議じゃない。尋常じゃないくらい速いから。その代わり上下に揺れる振動がかなりキツい。目的の魔獣が死ぬ前に俺のケツが死ぬかもしれない。


支部では図鑑を見ながら無邪気なアホのフリをしていたが、しっかり状況は把握していた。3人は、すぐに討伐しに向かいたいが俺を連れて行くのは如何なものかという心境の様だった。


だが結果的に俺はここに居る。やはりドロムさんの飴が効果テキメンだった様だ。まさかドッケラルなんて大物魔獣の討伐を見る事が出来るとは思わなかった。


わくわく魔獣図鑑の申し子こと俺は知っていた。ドッケラルは第9種特殊指定魔獣だ。ホルハースに似ていて4本脚で移動するが、前足から上方向に向かって人間の胴体の様なものが生えていて、ちゃんと両腕が2本付いている。胴体からそのまま上に行くとやはり顔らしきものが付いているが、人間と一番違う所は左右に広い口と顔の上半分を占める大きな1つ目だ。


聴力はほとんど無いので目で視認されない限りまず見つかる事は無いが、一度見つかったら最後。荒野の果てまで見通せると言われる視力で永遠に追われ続けるらしい。

特にこれといった特殊能力は無いが、4本足から繰り出されるその強靭な脚力を活かして途轍もない速度で動き回り、体当たりや踏み付けで人間をあっけなく潰してしまう狂暴な魔獣だ。


一定の条件下で狂暴度が増し、その状態の時は一時的に第8種指定の魔獣に昇格する事が特殊指定魔獣たる所以だが、この大陸では有り得ないから特に心配する事も無いだろう。


そんな図鑑の中でしか生息していなかった魔獣を拝めるとはやはり俺はツいているのかもしれない。


だがまだ安心は出来ない。

おそらく今度は俺を村に置いて行くかどうかで悩む筈だ。


ゾディアルさんからは、自分が不在の間、この支部で一番優秀な組に俺を入れてくれる事になったという話を聞いた。最初どこか行ってしまう事に不満をこぼしたが、お前が見たかった魔獣討伐が見れるぞと言われ有頂天になった。


ゾディアルさんから課された課題は3つ。


1つ目は魔獣討伐に臨む冒険者にしっかり付いて行く事。


実際の現場に居ると、緊張や不安など精神状態の変化で自分の想像以上に体力を消耗するらしい。そんな状況で冒険者にしっかり付いて行けたら一先ず合格だと言っていた。だが自ら戦闘に参加する事は厳禁。


2つ目は同行する冒険者の指示を守る事。


今の所は辛うじて大丈夫だ。

だが村に残れと言われたらどうする、俺…


3つ目はゾディアルさんが居る居ないに関わらず俺と約束した事。


俺の能力を他人に見せない、教えない、だ。そもそも旅に出る起点となった話でもあるのでそこだけは俺も大丈夫だ。もし約束破ったらどうなるかわかるな?と真剣な顔で凄まれたので固く誓った。お前との旅はもうここで終わりだ。大人しく村へ帰れなんて絶対言われたくない。


それだけは絶対に。



夜パンタフェルラさんと喧嘩してしまった。

いや、喧嘩なんて大層なものじゃない。俺がひどい事を言ったから怒らせてしまった。


ファイドナ村へは予定通り日が沈む前に無事到着した。着くや否や村長宅を訪問し、パンタフェルラさんが事情を説明すると、対応の早さに涙を流して喜ばれた。村長のじいさん、気持ちわかるぜ。俺もそうだったからな。別に俺が何をした訳でも無いが、誇り高い気持ちになった。これが冒険者のあるべき姿なんだ。例の魔獣による被害は今の所確認されて無い様で、一先ず安堵した俺達は必要以上に盛大な歓待を受けた後、それぞれの寝室に入る前に集合し、明日からの討伐について会議する事になった。


その最中に起きた事だ。


案の定、パンタフェルラさんから、明日からは村に残っておいて欲しいと話があった。


それを予測していた俺は、ゾディアルさんからのという言いつけと、俺の率直な願望であるの両方を達成するにはどうしたらいいかを移動中ずっと考えていて、ある方法を思いついた。考えた結果、それは相手に「はぁ、わかったよ。じゃあついて来い」と言わせる事だった。それならば冒険者の指示を守った事にもなるし、俺も同行できる。そんな子供の言い訳みたいな方法だが、これしか思いつかなかったのであの手この手で説得を試みた。


だがパンタフェルラさんは頑として首を縦には振らなかった。


王都を経った時くらいまでは、村に残れってい言われたら流石にしょうがないよな、なんて思ってたが、いざここまで来て実際にお預けを食らってしまったら、そりゃねぇだろって頭に来た。俺が必死に想いを伝えてるのに、澄ました顔で聞き流すパンタフェルラさんの態度も俺のイラ立ちに輪をかけた。


だから思わず言ってしまったんだ。


じゃあ何で俺をここに連れてきたんだ、ドロムさんのエサに釣られた癖に、と。


気付いたらパンタフェルラさんに顔面を殴られて後ろに仰け反り尻もちをついていた。貴様の様な子供に何がわかる、と。


鼻の奥から緩やかに垂れてくるものの存在を感じている最中、アーラさんとロダンさんを見たら、2人とも口を大きく開けて驚いていた。この野郎、保護対象殴るとは何事だと文句を言おうとパンタフェルラさんの顔を見た瞬間、怒りを上書きする程の激しい後悔が襲ってきた。


だって俺より苦しそうで悲しそうだったから。食いしばった歯を何とか見せない様に一文字に結ばれた口はちょっとでも触れると今にも開いてしまいそうで、眉間を寄せて険しい顔をしているけど、俺を睨む2つの瞳は四方八方から引っ張られている様に揺れていた。


パンタフェルラさんが顔を一瞬伏せたと思ったら次の瞬間勢いよく外に出ていき、アーラさんが名前を呼びながら追って行った。しばらく放心していた所で、横に居たロダンさんが、やべえな、ありゃマジ切れだ、と呟いた。


耐えられなくなった俺は部屋を出た。


ロダンさんも俺の名前を呼んでいた。



「ふぅ、ここに居たか」


振り向いてはいないけどロダンさんだという事はわかる。俺は村のすぐ近くにある小高い崖の淵に腰掛けていた。無我夢中で走って行ったら崖に足止めを食らったけど、そこから見える星空が綺麗だったから何となく座ってボーッとしていた。


「お前がこっち方面に走っていった所を目撃した村人が居て良かったぜ。じゃなかったら今頃大捜索だ。ほら、飲めよ。わざわざ持って来たんだ」


そう言って俺の横に座りながら何か飲み物を手渡して来る。あまり気が進まなかったが、受け取ったからにはと口を付けてみる。


かなり甘ったるい。


「ジカンテって言うらしいぜ。この村ではみんなコレ飲んで育つそうだ。この変で生るジカンって実ををすり潰して牛乳に混ぜたモンらしい。かーっ、甘ぇよな」


「………今はありがたいすね」


「そうだろうと思って持って来てやったんだ。少し冷めちまったけどな」


へへっと笑うロダンさん。


「なあ、ライド。お前何でそんなに魔獣を倒してる所を見たいんだ?」


「………図鑑に載ってる魔獣を単純に見たいからって言ったら怒ります?」


「いや、そんな事はねぇぞ。俺もガキの頃はよく想像したモンだ。俺が立派な冒険者になってよ、バッサバッサと凶悪な魔獣を倒す姿をな。ヘヘヘ、頭の中では俺って超強ぇんだよなぁ」


分かる。俺もそうだ。

その時間が楽しいんだ。自分が強くなれる瞬間だ。


「でも現実はそう甘くねぇ。まだ言ってなかったよな?俺は元々ジーレイス魔術学院に居たんだ」


「ジーレイス?ジーレイスって…あのジーレイス?」


「そう、そのジーレイスだ」


ジーレイス魔術学院。


ドプレス大陸の魔法大国ゼイオットの王都にある魔術学院だ。ラメンデに住む人族で、ジーレイス魔術学院を知らない奴は人族では無いと言われるくらい誰でも知っている。ラメンデ中から優秀な魔術師候補が毎年入学を希望して受験しに来るが、そのあまりに厳しい試験内容と数少ない合格者数で、多くの涙が流れるらしい。


すごいな、そのジーレイスに居たのか。


「俺は元々ゼイオットの地方都市出身の平民でな。ガキの頃から親に魔術を教わってたんだ。なかなか厳しい指導だったぜ?この術式の解が分かるまでメシ抜きだ、とか言われてよ。結局問題解くより腹の虫を治める方が難しかったんだがな」


「何すかそれ、フフッ」


「おっ?笑いやがったな?でもそんな教育の賜物なのか魔術がかなり上達してな。地元の街では神童が現れたーなんつってヨイショされたワケよ」


「すごいすね。俺魔術わかんねーからどのくらいすごいのか分かんないすけど」


「ヘッ、まあそんなもんだろ。そんでな、当然の如くジーレイスを受けろって話になったんだ。そりゃあもう頑張ったぜ。周りからの期待に応える為にな。その甲斐あって信じられない事に受かっちまった」


すごい。本当にすごい。

並々ならぬ努力をしたんだと思う。

のほほんとレプル採ってた俺とは大違いだ。


「みんな喜んだ。俺も嬉しかった。これから魔術師として輝かしい経歴を辿るんだってな。だが入学して初めて分かった。貴族が幅利かせてやがったんだ。平民の学生は1割にも満たなかった」


貴族か。魔術は貴族が嗜むものだっていう話を聞いた事がある。それを鵜呑みにしていたから特に疑問には思わなかったし、魔術自体にもそこまで執着は無かった。そういうものだと思っていたから。


あったのは、冒険者として強くなる為に魔力を使いたいという願望と、せめて魔具くらいは動かしたいという思いだけ。


「さんざん嫌がらせされたよ。平民風情が魔術を学ぶなど不敬だってな。俺は反発した。コイツらより絶対強い魔術師になるってな」


「入学したばっかりの学生に差なんて無いと思うんすけど」


「だろ?俺もそう思ってたんだ。だが現実は厳しかった。そんな人を小馬鹿にする様な奴らに、俺はどうあがいても勝てなかったんだ」


「ロダンさんが?」


この村に来る時途中で何回か遭遇した魔獣と戦闘していたが、そんな事感じさせないくらい強かったのに。


「ああ。俺は悟った。現実にはどうあがいても歯向かえない壁が有るってな。考えてもみろよ。あいつらは生まれた瞬間から魔術の英才教育が始まるんだ。入学は同じでも既に取り返しのつかない差が出来てたのさ」


英才教育か。

小さい頃から専門的に学んで来たんだな。


「それで俺がどうしたと思う?ハッ、逃げたのさ。屈辱感に耐えられなくなってな」


「そんな…」


「それが事実だ。でもそんな事、実家に言えるワケ無かった。会わせる顔も無かったしな。かと言って行く宛ても無かったから、いっその事違う大陸で魔術を使って新しい人生を始めようと思ったのさ。家出だな。その後まぁ色々あったが、結局あんまり上手くいかなくてな。流れに流れたのがショルヘだったんだ。宛てもなくフラついてたら目に入ったのが冒険者協会だった。そういえば俺は昔頭の中で魔獣をなぎ倒してたなと思い出したらいつの間にか磁鉄級章を首からブラ下げてたよ。ヘヘヘ、それが5年前だな」


そう言うとジカンテをくいっと一飲みした。

普段冗談を飛ばしながら明るく振舞っているロダンさんに、そんな紆余曲折があったなんて知らなかった。何て言葉を返していいか分からない。


「おっとそんな顔すんなよ。こっから明るくなるからよ。んで取り合えずドブさらいから始めた。ジーレイスで高尚な教育を受けていた俺がだぜ?でもな、そんな雑用みたいな事でも依頼人は、ありがとう助かったって言ってくれたんだ。嬉しかったぜ。全然大した事やってないんだが、落ちぶれた俺を認めてくれた様な気がした。そこからは依頼をこなす日々だ。魔術はある程度使えるから紫銀まではあっと言う間だった。だが徐々に1人では魔獣を倒すのが難しくなって来てな。どうしたもんかと悩んでた時に会ったのがパンタだった。それが2年前だな」


パンタフェルラさん…


「パンタはその時からもう白楉級でな。どっかの組に入っては抜けてを繰り返してた。それからしばらくは一人で依頼をしている姿を見かけていた。普通有り得ねぇぜ?白楉級ともなろうもんならどの組からも引く手数多だ。不思議に思った俺はパンタが入った組の知り合いに聞いたんだ。アイツは何で抜けたんだ?ってな。こう言ってたぜ。何か見下されてる様に感じるって。要は周りが引け目を感じてついて行けなくなったんだな。何しろ珍しい寿人の冒険者だし、アイツその時から尋常じゃないくらい強かったから。でも浮いてたな」


それは何となく分かる。

パンタフェルラさんからは俺みたいな一般人でも強者の威圧を感じる。俺がもしその人と同じ状況になったら同じ事を感じたかもしれない。


「ある日とある依頼をアイツと組んでやる事があった。実際どんな奴なんだって気になってたからいい機会だと思った。んで、その時の立ち振舞いとか俺への接し方とか見て何となく分かったんだ。あぁ、コイツは単に人に自分の気持ちを伝えるのが苦手なだけなんだってな。だから遠慮なく指摘した。思っている事を言えって。言わなきゃ分かんねぇぞってな」


「そしたら?」


「どうやら焦っていたらしい。早く烬灰級に上がる実力をつけたくて、自分について来られる冒険者を探している内に自然と避けられる形になったみたいだ」


胸がズキッと傷んだ。


「そっからは一緒に依頼をこなす事が多くなった。実は俺の近接戦闘を併用する戦い方はパンタの要望だ。そうして欲しいってな。ちゃんと自分の考えを言ったんだ。へっ、そんなモン二つ返事だろ。んで間もなくしてアーラが入って来てな。アイツも裏表無い性格してるから気が合ったんだ。思った事ズバズバ言うからな。この3人で組みだしたのはそっからだな」


納得した。

昼間3人の戦闘を後ろで見ていて一部の隙も無い連携に感動したんだ。お互いがお互いを信頼し合ってる。ありきたりな表現だけどそれが一番しっくり来た。


「………パンタさんは何でそこまでして上がりたいんすか?」


「うーん…どうすっか…おい、俺が言ったって言うなよ?聞いてない事にしとけよ?お前、リンデフラムさん知ってるか?」


「あの神聖級冒険者のっすか?もちろん知ってるっすよ。つか知らない人居るんすか?」


「だよな。パンタはな、リンデフラムさんに憧れてるんだ」



『破戒弁天』リンデフラム・キルネロ



現役の神聖級冒険者でありラメンデで最も有名な寿人でもある、今を生きる伝説だ。何が伝説かと言うと、寿人が長命な事もあって、かれこれ100年以上神聖級冒険者を務めている点だ。俺が生まれる遥か昔から既に現場は退いて裏方に徹しているらしいが、その名は今もなおラメンデ中に轟いている。あといつも煙草を吸っている人の様で、ラメンデで最も一般的な煙草といえば、箱の表にリンデフラムの影絵が描かれているその名もキルネロ。村ではブノじーちゃんが吸ってたから箱を見せて貰ったが、格好よかった。


「パンタがまだ幼い頃、まだ当時最前線で活躍してたリンデフラムさんに一度命を救われたらしくてな。同じ寿人という事もあって、そこからリンデフラムさんの様な冒険者になる事がアイツの夢になったみたいだ」


さっき傷んだキズが広がった。

つまり俺は間接的にパンタフェルラさんの夢をコケにしたんだ。パンタフェルラさんがどれだけ烬灰級に上がりたかったのか理解もせずに。だから…だからあんな顔をしていたのか。俺がもし同じ事をされたらどう思う?顔面一発殴るくらいじゃ収まらない。


俺はパンタフェルラさんを傷つけてしまったんだ。


「そんな顔すんなって。打算があってお前を連れて来たのは俺もアーラも同じだ。パンタだけが悪いワケじゃねぇ。テメェの欲望に負けてお前を連れて来たんだ。でもさっき打ち合わせでパンタがきっぱりと村に残れって言っただろ?実は俺達2人も同じ気持ちだった。どんだけ目の前にエサ撒かれてもやっぱりお前の命には代えられねぇ。もちろんお前が俺達が尊敬するドロムさんの親戚だって事もあるぜ?でもな、結局俺達は冒険者だ。『何が一番大事か?』それを忘れたら誇りが無くなっちまう。直接言葉にはしなかったがこの村に向かってる最中はみんな自問自答してた筈だ。その末の結論だ。もう報酬なんて要らねぇ。ライド頼む、分かってくれ、この通りだ」


ロダンさんがこっちを向いて頭を下げて来る。ふざけるな、謝るのは俺の方だ。


「やめて下さい!ロダンさん!頭上げて下さいよ!謝らないといけないのは俺の方だ!俺のくだらねぇ願望で、パンタフェルラさんを傷つけた!大丈夫っす、俺村に残りますよ。そんで明日朝イチでパンタフェルラさんに謝ります。それが今俺が一番すべき事っすから」


そう言うと、ロダンさんは安心した様にニコッと笑ってくれた。


何でお前はそんなに魔獣を倒している姿を見たいんだ?さっきロダンさんに聞かれた事だ。図鑑に載ってる魔獣を見たかったからなんて答えたが、本当の理由は分かってる。自分に嘘はつけない。


俺は焦ってるんだ。

冒険者は魔獣をどうやって倒しているんだろう、その姿をたくさん見るのが今の俺にとっての一番の勉強だと思ってるから、どうしても諦めきれなかった。一刻も早く強くなってどんな人でも助けられる様になりたい。まだ自分の信念を見つけて1週間も経っていないけど、早く、早く、早く。


そんな気持ちだけが先走っている。


でも今日の件で、俺がいかに自分の事しか考えていないか改めて分かった。あの時森でゾディアルさんに色々言われた時の様だ。思考が自分の事だけで完結してしまっている。


反省しよう。

そして次に繋げよう。

ゾディアルさんが言ってただろ。

大事なのは今からどうするか、だ。

俺がやるべき事は一つ。

明日の朝パンタフェルラさんに謝ろう。


そう思って手に持っていた杯を勢い良くひっかけた。ジカンテの後味が妙にしつこかった。





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エンプシー・リギウスのよいこのための

わくわく魔獣図鑑


          出版:生命生体研究所

          共著:冒険者協会



18、ペッペ

   3つのあしをもつとりがたまじゅうだ。

   からだは50セルメルくらいできよう

   にあるくよ。みずべでこざかなをこの

   んでたべるけどワングルにたべられ

   ちゃうこともしばしば。


   だい20しゅしていまじゅうだ。



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