第43話 夜中のアンケート
これは、あまり後味の良い話ではありません。ご注意ください。
ある夜のことでした。
Aさんは、誰かと話をしていました。
「うーん、悩むなぁ。強いて言えば、Bさんかなぁ……。Cさんは親切に仕事のことを丁寧に教えてくれるから、居なくなると困るんだよね。
Bさんは仕事は出来るけど、ちょっと人柄がねぇ……
え?お爺さんとお婆さん?
う〜ん、そうだなぁ、お婆さんは悪い人じゃないけど、ちょっと嫌味を言うんだ。
でも、お婆さんがいないと、お爺さんの世話をする人がいなくなるから、困るんじゃないかな。お爺さんが家のこと自分で、できるようだったら、お婆さんかなあ?」
こんな具合で、身の回りの人が「どちらが先に居なくなればいいか」
聞かれるがままに、必死に考えたそうです。
それは夜寝ている時でしたが、夢の中だったのか、夜中に目が覚めて、勝手に自分が考えていたのか、とても曖昧で、朝になりハッキリ目が覚めた後でも、延々と考えこんでしまっていたそうです。
「いや、なんでこんな事を悩んでるんだろう」
夢にしろ何にしろ、とにかく気分が悪く、もう忘れようと思ったそうです。
それから何年も経ちました。
ある日、お婆さんが亡くなりました。
それから何年か経ち、Bさんが病気になったというので退職され、しばらくして訃報が入りました。
ふとあの夢のことを思い出して嫌な気持ちになりましたが、
「いや、いや、偶然だ。そんな非現実的なことはない」
Aさんはその考えを打ち消しました。
それから暫くして、ある日、ホテルで宴会があり、トイレに行った帰り、廊下に置いてある椅子で蹲っている人を見つけました。
「どうされましたか?大丈夫ですか?」
Aさんが声をかけると
「え……いや、大丈夫です。なんでもありません。」
その人はふらりと立ち上がり、二、三歩進むと足止めて振り返り、こう言いました。
「自分の夢の中でした選択で、人が死ぬって思いますか?」
「え?」
Aさんがビックリして、かたまりました。
「いや、失礼しました。
そんなんなら、凶悪犯なんてすぐ死んじゃいますよね。
何でもありません。気にしないでください」
足早に立ち去って行きました。
そんな事……ありませんよね?
皆様も、夜中に誰かからこんなことを聞かれたら、よくよく用心してお答えください。
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