第6話 さようなら
これは、姉がまだ独身だった頃の話です。
ある夜、寝ていると、自分の枕元に、誰かが立っていることに気がつきました。
枕元に立っている人は男性で、見えるのは膝から下だけだそうです。
枕に頭をつけて寝ているのですから、頭の上の方に立っている人の姿が見えること自体、おかしいのですが、とにかく、ズボンを履いた男の人が、靴を履いて、自分の枕元に立っているのが見えたそうなのです。
その靴に、姉は見覚えがありました。
それは、仲良くしてもらっている職場のおじさんがよく履いているものですが、ただ、まるで、雨の上がりの日に転んだように、泥だらけなんだそうです。
姉は、スッと体が冷たくなり、とにかく、よく分からないけど、声をかけたらいけない!かけられてもよくない!と思い、ひたすら、心の中で、ごめん!悪いけどあっちいって!とお願いし続けたそうです。
翌日、出社した姉は、その人が前日の夜半、帰宅途中、交通事故に遭って、明け方亡くなったという話を聞きました。
丁度、車から逃げるように草むらに倒れ、下半身は泥だらけだったそうです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます