第5話 ひょっこりはん〔再掲〕
一回、公開したのが、消えてました。
それはある年の冬のことです。
実家に帰省をすると、久しぶりに従姉妹たちが遊びに来てくれました。
話が弾み、すっかり遅くなってしまい、彼女たちは泊まって行くことになりました。
しかし、姉家族も帰ってきており、そう広くもない実家は満員で、部屋割りの結果、私は両親の寝室で寝ることになりました。
当時、既に一人暮らしが板についていた頃で、両親と同じ部屋で寝るというのは、何とも居心地が悪く、なんだか寝そびれてしまいました。
これが、自分の部屋なら、気晴らしにスマホを見たり、軽くヨガをしたりするのですが、そうもいかず、暗闇の中、ボーとしつつ両親の寝息を聞いていました。
深呼吸でもするか……
私は仰向けになると、深呼吸を始めました。
実家では、寝る時にエアコンはつけず、その代わりに足元に小さなアンカというのでしょうか、電気の足こたつを入れてくれていました。
膝を立てて、それに足の裏をつけて、私は深呼吸をしていました。
ゆっくりと少しずつ息を吸い、一旦息を止めて丹田に貯め、それから、またゆっくり細く吐いていきます。
その時、ふと、眉間に意識を集中していると、幽体離脱ができるとかいう話を思い出し、やってみることにしました。
じーっとひたすら、眉間に集中し、ゆっくりと開いていくイメージを作っていきます。
が……
いつまでまっても、自分の体を見下ろすとかいう状態になりません。
こんなもんやな……
私は、幽体離脱チャレンジに、すっかり飽きてしまい、足元のこたつを蹴って、足を伸ばしました。
すると
視界に、足の方の壁にある窓が、あるのです。
丁度体を起こして、枕あたりに座っているように、視線の先に窓があるんです。
しかし、私の足は布団の下の方へ押し下げた、足こたつの上にあります。
突然、足が異常に長くなったのでしょうか。
恐る恐る、下へ目を向けますと、暗闇の中、ずっと布団の先まで、私の体の膨らみが続いているのが見えます。
その途端、一気に血の気が引いて、恐怖が襲ってきました。
目をギュッと瞑ると、ひたすら神さまに謝って、助けを求めました。
気がつくと、私は布団の中に普通に寝ていました。
戻れて良かったです……
是非とも、みなさま、一度試してみてください!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます