第3話
孤児院経営をして数年が経ったある日、僕は永遠に忘れることがない悲惨な出来事が起きた。僕はその日、用事があり1人隣の国へ行っていた。他所の孤児院の経営方針を見てほしいとのことだった。そのため女の子に孤児院を任せて、僕は出張していた。
なぜ僕はこの時空けてしまったのか、後悔してもしきれない。
その日の夜、国によって僕の住む村だけ焼かれ、虐殺が行われた。村に住む人々は尋問にかけられて、次々に殺された。そしてそれは孤児院も例外ではなかった。村の人は女子供関係なく皆殺しで、焼き払われた。
僕が帰ってきたとき村は、孤児院は跡形もなかった。
焼失した孤児院、黒く変色した血、つん裂く死体の臭い。死体は山になっていた。死因は様々で焼死や、刺殺などがあった。焼死体は1箇所に纏めていたから、めんどくさくなり一気に殺されたのではないかと考えられる。まるでこの世の地獄なのではないかと思える惨状であった。
その中僕は何を思ったのか、もしかしたら生きている人がいるのかもしれないと孤児院の跡をひたすら探した。
何時間探したのだろう。体は擦れて傷ができ、手は炭塗れになった。それでも探した。探し続けた。
その時僕は1人見つけたのだ。あの女の子を。傷だらけで、目は死んでいたが、たしかにあの女の子だ。あの女の子は無事だった。それだけでも僕は救われた。僕は駆け寄り、
「大丈夫だったんだね…。他の子は?焼けてしまったのかい?あぁ…そんなことも話せないよね…。ショックを受けてしまっているんだろう。大丈夫。僕が絶対に守るから。もうこんなことにならないよう約束する。だから安心して寝てくれよ、僕の腕の中でさ。現実から今は目を背けるんだ。僕はずっといるから…。絶対に守るから…。だから僕を見て…。僕を忘れないで…。1人に…しないで!!」
自分とは思えないほど言葉が出た。僕の思いが全て口から出た。女の子に対する護りたいという気持ちと同時に、国に対して憎悪が増した。グラスは注げば増えるが、限界を迎えると溢れる。僕の憎悪は溢れて溢れて…。
国は何故村を焼いたのか?この者達に罪はない。なら罪人は?国だ。国は誰が断罪するのだろうか。それは国民だ。しかしみんな保守に走る。実行できる者は、失うもののない人だ。
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