創作ノート③ 『二十四の瞳』、その他学園もの
皆様ご指摘の通り、この作品は『二十四の瞳』から影響を受けております。そもそも「東南アジア版二十四の瞳」、あるいは「ファンタジー版二十四の瞳」を意識して書いたのがこの小説と言えます。
『二十四の瞳』は本当に名作だと思います! 『金八先生』、『GTO』、『ごくせん』……これら全ての日本の学園もののヒット作の元祖が、『二十四の瞳』ではないかと、そう考えています。
島に赴任した若いおなご先生が颯爽と自転車で登場するシーン、いいですね。私はこれにあやかり、ヒサリ先生も自転車で村にやって来る、という設定を考えましたが、あまりにもベタなので、騎乗の人に変更しました。
そして、生徒のうち最も野心的なダビがヒサリ先生と出会い、見上げるオープニングで、少年のカサン帝国への憧れを表現しました。
『二十四の瞳』の他で私が特に影響を受けた学園ものを挙げるとしたら、テレビドラマ『女王の教室』、そしてアニメにもなった漫画『暗殺教室』です。
『女王の教室』は2005年放送の天海祐希主演のテレビドラマです。天海祐希はこの作品で冷酷な鬼教師を演じました。生徒達を序列化し、成績優秀で従順な生徒をえこひいきし、反抗的な生徒、成績の悪い生徒は徹底的に貶めます。恐怖に支配された教室で、生徒達は他の生徒を犠牲にして自分の身を守る事に明け暮れ、密告や苛めが横行します。
しかしある時、「これはおかしい」と気付いた志田未来演じる主人公や数人の生徒を中心に生徒達は団結し、教師に立ち向かうようになります。そして終盤に明らかになるのですが、教師の冷酷な振る舞いの背後にはある意図があったのでした。
私はこのドラマが大好きで、生徒に厳しい表情を見せるヒサリ先生には、この作品のひっつめの髪型に黒服の天海祐希のイメージがちょっとだけ入ってます。(ヒサリ先生はこんな恐ろしい先生じゃありませんが!)
『暗殺教室』に関しては有名ですし、ここであえて説明しません。
私はこれらの作品から、「理想の教師」とは単に思いやりや情熱があるだけではなく、生徒にとっては立ち向かう壁であり、時に「殺す」対象ですらあるべきなのだと思いました。
今後の続編において、ヒサリ先生と生徒達の関係がどうなっていくか、今の段階で詳しく明かす事は出来ません。しかし確かに言える事は、生徒達は皆その後の人生においてヒサリ先生の影響を強く受け続けるという事です。
しかし、とはいえ、皆がヒサリ先生の望んだような「立派なカサン帝国臣民」になるわけではありません。ある生徒はヒサリとその背後に存在する壁に徹底的に立ち向かいつつ成長し、新しい自分達の世界を築こうとするのです。
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