酔い、醒めやらぬ



あいつは、白くて、か弱くて、優しくて、優しい。


だから、私が居なくなっても、一人で生きていけるくらい、強くなってほしかった。


私に強く当たっても構わない。あいつ程度の攻撃じゃ、痛くも痒くもない。


あいつが、それで強くなれるなら、私が居なくても大丈夫だと言えるようになるなら、それでいい。


私に凭れて、甘えてこなくなる、のは、


ちょっと、寂しいかもしれないけど。



姉さんが守ってくれるから大丈夫、なんて言い出したら、どうしような。


それはそれで、……別に、構わない。







あぁ、結局、甘えられやしなかったな。


本当に弱いのは、私だったのかもしれない。


あいつが生きてさえいれば、消えても良かったんだ。


あいつが居なくなって、大丈夫じゃないのは、私だったんだ。



なぁ、ごめんな、置いていって。


許してくれなんて、言わないけどさ。


この場所から出る前に、軽く手を握るくらい、してってくれよ。


そしたらきっと、信じていられるからさ。


お前が、私が居なくても、楽しく強く生きてる、って。



だから、




だからさ




ほんとは、嫌なんだけどさ




あぁ ごめんな





ずっとたいせつな弟だ って

直接いえなくて



うそ ついて




なぁ



わたしは、いい姉さんであれたかな




そうだったら、いいなぁ、











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る