部屋の片隅に、薄ら色が乗る。





泡沫の記憶。


弟は非力で、とにかく白かった。私はそんな弟が心配で、弟を守らなきゃいけないと、そう思ってた。


弟は私を鬱陶しがった。それでいいと思った。私が過剰に心配することで、あいつがちゃんと自衛出来るようになるなら。


あいつは生意気で隙を見ては煽ってきたけど、なんだかんだと仲は良かった。あいつは優しい奴で、ただ少し分かりにくいだけで。何より弱い奴で。


あいつは、

















あいつは






































色が消えた。




白い部屋。


白い、それだけの部屋。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る