存在意義


「____次回の講義は、今回脱線した方の話をします。取りたい人はノート忘れずにね」


はーい、と。まるで小学校かのように揃った返事が返ってくるこの場所は、私の勤め先である大学だ。

他の教授からは、私を羨ましいと言われる。多分、単純に生徒のモチベーションが高いだけだと思うのだが。


講義が終わってからも、生徒たちは質問をしてくれる。講義で分からなかったことはもちろん、全く関係ない事も話してくれるので、私としても気分転換になっている。


「先生、これこっちでいいですか?」

「うん、ありがとう。助かるよ」


授業の後片付けを手伝ってくれる生徒もいる。世の中は捨てたものじゃないなと毎日考える。希望に満ち溢れた彼らがいるから、未来はきっと暗くない。私は、彼らが望む知識をただ少し持っているだけ。それを、彼らにお裾分けするだけだ。




暗い。痛い。苦しい。

頭の中が岩になったかのように重い。

辛い。辛い。つらい。


なぜ君じゃなきゃいけないんだ。



眠れない。ずっと。

君の潤んだ瞳が白く染まっていくのを、

鮮明に思い出して。


君が君で無くなっていく。


君は。


君は何処だ?




彼女が求めるなら、私はそれを遂行しよう。例えどんなに未来ある者だったとしても、彼女がそれを求めるなら、私は惑わない。

嗚呼、*÷%。君を愛している。君の為なら私は、どんな痛みでも受けて立とう。君が求めるなら、私は鬼にだってなれる。


最愛の妻に。鎮魂歌を添えて、私は赤く花向けを続けよう。彼女への愛が途切れないよう、私は完璧にやり遂げる。彼女は喜んでくれるだろうか。否、愚問だ、彼女は求めた。だから私は続けよう。





いつになったら、私は君の傍へいけるのだろう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る