第16話 上から下から、努力家ガール

 第二戦目、vsほのか。


 前回の敗北を踏まえて、どう戦うかが重要だ。

ちひろとやったときは、俺が隙を突かれてしまったのが原因だったよな。

こっちが隙を突きにくい相手だったというのもあるが。


 しかし、ほのかの場合おおよそ弱点は分かっている。

ほのかは興奮しちゃうタイプなんだ。だからそこを突く!

苦手が克服されているかも踏まえて、試してみるか。


「お待たせいたしました。私本日よりあなたの秘書となりました、ほのかと申します。よろしくお願いいたします。」

「こちらこそ、よろしく。」


 なるほど。今度はそういう設定で来たか。しかし、秘書は自分の下の名前だけ名乗るってあるのだろうか。

今は練習なので問わないが。


「私に頼みごとがありましたら、何なりとお申し付けください。」


 ここはちひろと違うのか。


「おう、それなら。最近体が痛いんでマッサージでもしてもらおうかな。」

「へ?」


 不思議そうな顔で俺を見つめるほのか。


「仕事の手伝いでなく、マッサージが良いのですか?」

「そうだな、今日の仕事は片付いているからマッサージお願いします。」

「かしこまりました。」


 この勝負の勝利条件は、相手の弱みを掴むことができるかだ。

ほのかはどんな手を使ってくるのだろうか。


「それでは、足からマッサージさせていただきます。」

「頼む。」


 ほのかは丁寧に足のツボを押してくれる。

心地よい。彼女のことだからきっといろいろ勉強してきたんだろう。

センスのちひろと努力家のほのか。この二人対称的だよな。

 その後。


「手のマッサージをいたしますね。」


 そう言って僕の手を掴むほのか。そして僕の手を自分の胸に触れさせてくる。

そしてスマートフォンのカメラを向け、撮影しようと試みる。

俺もすかさず、ほのかのスカートの中にカメラを向け、撮影。

そんな僕の行動にほのかは首を傾げ、


「ん?私のを撮っても意味ないです。おにいさんが弱み握られたら負けなのでは?つまり私の勝利ってことで……!」

、だけどな。」

「それは撮れてるよ~。撮影の音したじゃん。」

「なら、その写真を見せてくれ。」

「往生際悪いなぁ。はい、これだよ。」


 ほのかは得意げに見せてくるが、写真は真っ暗で何も映ってない。


「えっ??うそ、どうして??」

「ほのかがマッサージする際、一旦服から邪魔だからスマホを横に置いた。そのときにスマホを細工させてもらったのさ。」

「こ、壊れてないよね?」

「そんなことはしないさ。カメラのところを覆わせてもらったのさ。」

「そ、そんなぁ。」

「今回は俺の勝ちだな。」


 俺は勝ち誇り、笑う。


「うぅ。勝ったと思ったのにぃ。」


 悔しそうなほのか。


「ほのかってこんなかわいいパンツ履いてたのな。キャラクターがついてるねこれ。」

「み、見るなぁ!!」


 俺が写真を眺めてるのを全力で止めにきている。

その必死さがすごくかわいい。


「大丈夫、そんなほのかが可愛いよ。」


 なんてフォローしてみると、


「嬉しいけど、なんか違う……。」

「でも、前よりずいぶん成長してたね。興奮して寝れなかった子とは思えないよ。」

「ありがと。」


 最後は笑って、こっちに笑顔を向けてくれた。

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