第15話 やるかやられるか、色仕掛けクイーン
第一戦目、vsちひろ。
さあ、勝負開始だ。
ちひろは僕の後ろに素早く回り込む。
僕の背中に胸を押し付け、甘い声で囁きかけてきた。
「はじめまして♡私、本日からお客様のサポートをさせていただくちひろと申します。」
「おう、こちらこそよろしく。」
そう言う設定ね。あと、その手には乗らんぞ。ちひろがいくら魅力的なボディをもっているからといっても、こっちだって耐性がついてるんだよ。
「お客様、本日の調子はいかがでしょうか。」
「普通だ。」
ここはそっけない反応を見せる俺。
ハニートラップに弱音を見せることは許されない。
逆にちひろを出し抜いてやるつもりでいくんだ。
「そっちはどうなのか?」
「私は、特に変化ない日々ですよ。」
むむむ。
「お客様は紳士な方なのですね。私この仕事をしてから胸やお尻を触ってくる方が多いんです。だからお客様みたいな方と会えて嬉しいです。」
「お、おう。それは大変でございますね。」
おい、ちひろ。それって、お前がいつも仕掛けてきてるよな?
それとも、本当にされていたのか?
俺がしばし考えていると、
「お客様はしてみたくないですか?」
奇妙な言葉とともにちひろは僕の手を自らのお尻に触れさせてきた。
ヤバっ!気を取られてた!
触れた瞬間、どこかからシャッターを取る音が聞こえた。
ちひろはその瞬間ニヤリと笑い、
「チェックメイトです、おにいさん。」
と言った。
「いや、まだ終わっていないだろ!」
俺は反論したが、
「この写真、私はどこにだって送ることができるんですよ?」
と返された。
終わった。
チェックメイトだった。
僕の初陣はあっけない敗北であった。
「試験はクリアですよね、おにいさん♡」
喜ぶちひろ。
「とりあえずは、な。」
冷静に答えるふりをしているが、内心はとても悔しい。
次の相手は、ほのかだ。そう簡単に勝てると思うなよ。
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