第14話 膝枕の上で幼児返り


 うーん。

 いつの間にか眠ってしまっていたのだろうか。

寝起きの悪い俺は、仰向けからうつ伏せへ体勢を変える。

あれ、肌色……?俺はいったいどこにいるんだ?


 俺が目を覚ましたのはみやびの膝の上だった。

あったか~い。そして気持ちい~い。

自分が子供になったように、甘えたくなった。

そんな気持ちで少し上を見上げると、二つの果実が見えた。

ママ、触ってみてもいいでちゅか。

俺が手を伸ばすと、


 ばちぃぃぃん!



 叩かれた。現実に戻されちゃった。痛いよみやびママ!

 何をするんだ。


「ねぇあなた、本来の目的を忘れてないかしら。」

「いや、そんなことは……。」


 あった。めちゃくちゃあった。

これまでの行動を振り返ってみると。俺は下心を満たすためにしか行動してない。


「すまん、多少下心あったかもしれん。」


 もちろん多少ではない。


「本来の目的は私たちを一人前のハニートラップにすること。すぐにエロいこと考えちゃだめよ。警戒してる中で仕掛けないといけないんだから。」

「え、私はこんなに頑張ってるのにあんたは性欲を満たすためにやってたの?うわぁ。」


 引くわ。って顔で俺を見るほのか。

違う!そこまでは言ってないだろ!性欲じゃねえよ下心だ!


「おにいさんに悪気はないんですよ♡行動指針が下心優先なだけなんです♡ね、おにいさん♡」


 はい、そうです!なんて言うわけないだろ!

仮にイエスって答えたら本音と建前も分けれねえヤベえやつだよ。


「さて、それは置いておいてだな。」

「逃げたな。」


 ほのかが睨んでくる。

怖えよ。


「こほん。それでは本題に入ろう。これから行うのは、情報を抜き取る練習、相手の弱みを握る練習だ。」

「やっとそれらしいの来たわね。」

「ぐぬぬ。最初からそれをやるべきなんだよ!」


 フンと笑うみやびと怒るこあ。


「落ち着きなさいってば。」


 俺が諭すが、


「あんたのせいだよね、これ。」


 ほのかから鋭い指摘を食らう。

俺はそれを無視して、


「では、これから一人ずつやってもらおう。我こそはという人はいないか?」


 誰もいなかった。

それどころか、「おにいさん、キャラ変しました?」なんてちひろが茶化してくる。

邪魔するんじゃないよ。

俺は色仕掛けを仕掛けられる立場からハニートラップを育成する指導者に変わったんだよ。


「よし、さっそく一人一人やってもらうことにしよう!」


 そして、俺は。

一人目にちひろを指名した。


「どこからでもかかってこい!」

「おにいさん♡私のことが好きなんですね♡」


茶化すな。



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