第9話 自分らしく

 ほのかのおっぱいが柔らか過ぎてなんだか眠たくなってきた。

 罪なおっぱいだこと。


「そろそろ服を着ませんか?二人とも。」


 いつの間にか着替えたちひろが私たちにも服を着てほしいと言う。

 そうだな。いつまでも素っ裸じゃいけないよな。

 着よう。


「ほのかも早く着替えないと風邪ひくぞー」

「あんたがずっとおっぱい持ってたから着替えられなかったのよ!」


 ほのかの素はこういう性格だったのか。

 もうハニートラップである必要がなくなったから演じる必要はないわけか。

 なかなかかわいいじゃん。


 その後。

 軽く夜ご飯を食べ、歯を磨く。

 そして就寝の時間だ。


「二人とも~、布団敷いたから早く寝よ~。」


 ほんわかしたちひろの声がする。

 声の波長が良いのか、つられるように布団に入りあっという間に眠りについた。



    ◇   ◇   ◇



 夜中のこと。

ちひろが一人で布団に入っているのを見て、思いつく。

一緒の布団に入ってやる。やり返しじゃあ!

僕がちひろの布団に入ると、ちひろは目を覚ましたようだ。


「どうしたんですか、おにいさん。」

「どうもこうも、やられた分のやり返しだよ。」

「ご、ごめんなさい。その代わりですが、私の体触っていいから……。」


 寝ぼけているのをいいことに積極的な俺。

ちひろの尻に顔を埋め、大きなお尻を揉む、揉む、揉む。


「ちょっと、やめてくださいよぉ。」

「やめないぞ。」

「あぁ~ん♡気持ちいいのー♡」

「もっと気持ちよくなれ―!」

「こそばゆいよ~!」


 これまでやられた分をやり返す形で、俺はしばらくの間いちゃいちゃしていた。



    ◇    ◇    ◇



 翌朝。

 起きたら九時を回っていた。

 そこにはいつの間に着替えたのだろうか、スーツを着たほのかとちひろの姿があった。


「さあ行きましょう。」


 淡々とほのかが言う。

 怖いんだよなあ言い方。

 俺は二人に指示され、スーツを着て駅の方へ歩く。

 昨日通った道だ。

 昨日は暗くて見えなかった景色を見ると、農地が広がっている。


「ここは本当に田舎なんだな。」


 そうつぶやく俺に、


「はい。でもとってもいい町なんです。」


 ちひろは嬉しそうに返した。

 この町のことが好きなんだな。


 駅にたどり着き、電車に乗る。

 窓の外の景色は田舎から、高い建物が連なる都会へと変わっていく。

 超高層ビルが立ち並ぶ大都会の駅でほのかに手を引かれ、俺たちは下車した。

 駅の改札を出て、しばらく歩き俺たちは八階建てのビルの前にたどり着いた。

 ここら辺では低い建物だ。


「ここです。」


 ほのかが事務的な言い方で伝える。


「冷たいなぁ、どうしちゃったんだよ?」

「昨日おっぱい揉まれて興奮して寝れなかったそうです♡」


 ちひろが補足する。

 ハニートラップがちょっと触られて興奮してちゃいけないだろ。

 失格だぜ、しっか…。


「…な、なんで…!」


 ほのかが目を真っ赤にして泣き出してしまった。


「これから成長していけばいいから!な?な?」

「ほのかはまじめな子なのですぐ出来るようになるから!」


 二人でフォローするが、


「わたしは……!」


 ほのかは泣き止まない。

 俺はほのかの頭をやさしく撫でる。


「俺たちがいるからさ、頼っていいんだぜ。」

「あんたに頼ることなんてあるのかしらね。」


 憎まれ口をたたいてきた、これでこそほのか。


「よし!入りましょう~!」


 ちひろの元気な声とともに門が開く。

 これから頑張ろうな、ほのか。

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