第2話 誘惑
本音はどっちなのか。
考えるまでもなく、俺の股間が答えを表していた。
もうそれは彼女にもバレている。
「俺は、君のおっぱいが触りたい」
こう言うしかなかった。
俺の本音はとっくにバレてしまっているのだから。
今更嘘なんてつけない。
「はぁい♡、よく言えました♡それじゃあ、触ってみていいですよ♡」
しかし俺は少し考える。
彼女には通報されなくても、ほかの人に通報されるのではないか。
彼女にそれを伝えると、
「電車の中って人のことを気にしてる人なんてほとんどいないですよ~。みんな自分のことで精いっぱいです♡おにいさんもそうだったでしょう?」
考えてみればそうだな。電車の中は新聞を読む人、本を読む人、スマホを見る人、勉強をする人など色々いるが、みんな自分のことに集中している。
触ってもバレることはない、俺は確信した。
「そうだな、それでは触らせていただきます」
「なんでかしこまるんですか~?♡さっきまでずっと私の胸見てたじゃないですか~!」
彼女は笑いながらそう言った。
その通りだ。
俺もつられて笑ってしまう。
よし、触ろう。
恐る恐る手を伸ばし、彼女の胸へとたどり着く。
指が触れる。
やわらかい。
弾力性に富んだ胸が、奥から指を押し返してくる。
大きくやわらかい感覚、これぞ人類が追い求めてきたもの。
至福のひと時を俺は楽しんでいた。
「ちょっとぉ、おにいさん長すぎですよぉ♡さすがにそんなに長く触ってたらバレてしまいますよ?」
「ウソ?そんなに長く触ってたか俺?」
「はい♡それはそれは長い時間触ってましたよぅ」
「ごめん!そんなつもりはなくて…!」
「大丈夫ですよ~。もともとは私が言い始めたので~。ほんとにおにいさんは欲望に正直な人なんですね~♡」
言い返す言葉がない。
俺はさっきから欲望に負け続けている。
連敗街道まっしぐら。
しばらくすると、電車が駅に着いた。
俺の降りる場所だ。
彼女の高校も最寄りであるみたいなので、二人で降りて改札へ向かう。
彼女の名前はほのか。
彼女は別れ際にスマートフォンを取り出し、連絡先を交換しましょうと言ってきた。
さっきまで甘い色っぽい声で話しかけてきていたのに、なぜここで初対面みたく敬語になる!?
それに、近年はいろいろ便利なアプリもあるのに、なぜメールアドレスを選んだ!?
分からんが近年の女子高生はこんなもんなのかねぇ。
彼女に言われるがままに連絡先を交換する。
そして、彼女は別れ際にこう言った。
「明日また会いましょうね、おにいさん♡」
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