final & prologue.

 朝陽。


「きれい」


「綺麗、か」


「なにも、感じないんですか」


「眩しい、ということぐらいしか。でも、今。分かったことがあります」


「聞いても、いいですか?」


「綺麗だったんだ。あなたの。あの作品が。不格好で、それでも生きようとする、何かが」


「不思議ですね。私も。あなたも。いま、同じことを思ってる。朝陽に当たると、いきたいって、おもってしまう」


「はい。朝陽が出ると、身体が勝手に生きようとする。いつもの日常を始めるために。ここまで。こんなにも。こんなにも」


「がまんしないで」


「これからも。私は。人を疑って。追い詰めて。捕まえて。そうやって生きていくんです。私なんかが、こうやって。そんなことが」


「わたしも。これから。人の集まりに混ざれないで。ずっとずっと、ひとりで。生きていくしか、ないのに。それなのに」


 女性の、威勢よく叫ぶ声。


「ああ、すっきりした」


「びっくりした」


「ひとりだから。叫んでも、大丈夫。こうやって、生きていくしか、ないんです。ひとりで」


「私も叫ぼうかな」


 小さな、叫ぶ声。


「声が小さいですね」


「叫んだことがないので」


「まだ、しにたい、ですか?」


「はい。でも、抑えられないほどでは、ないです」


「そうですか。よかったです。じゃあ」


「待って。待って、ください」


「はい」


「もう少し。もう少しだけ。隣にいて、くれますか」


「はい。わたしも、あなたの隣に、いたいです」


 新しい日々。朝陽と共に、もう、やってきている。

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