final & prologue.
朝陽。
「きれい」
「綺麗、か」
「なにも、感じないんですか」
「眩しい、ということぐらいしか。でも、今。分かったことがあります」
「聞いても、いいですか?」
「綺麗だったんだ。あなたの。あの作品が。不格好で、それでも生きようとする、何かが」
「不思議ですね。私も。あなたも。いま、同じことを思ってる。朝陽に当たると、いきたいって、おもってしまう」
「はい。朝陽が出ると、身体が勝手に生きようとする。いつもの日常を始めるために。ここまで。こんなにも。こんなにも」
「がまんしないで」
「これからも。私は。人を疑って。追い詰めて。捕まえて。そうやって生きていくんです。私なんかが、こうやって。そんなことが」
「わたしも。これから。人の集まりに混ざれないで。ずっとずっと、ひとりで。生きていくしか、ないのに。それなのに」
女性の、威勢よく叫ぶ声。
「ああ、すっきりした」
「びっくりした」
「ひとりだから。叫んでも、大丈夫。こうやって、生きていくしか、ないんです。ひとりで」
「私も叫ぼうかな」
小さな、叫ぶ声。
「声が小さいですね」
「叫んだことがないので」
「まだ、しにたい、ですか?」
「はい。でも、抑えられないほどでは、ないです」
「そうですか。よかったです。じゃあ」
「待って。待って、ください」
「はい」
「もう少し。もう少しだけ。隣にいて、くれますか」
「はい。わたしも、あなたの隣に、いたいです」
新しい日々。朝陽と共に、もう、やってきている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます